
12月30日、2025年最後の営業日に、毎年恒例となった映画『ハッピーアワー』の舞台挨拶を開催しました。
2015年12月の公開から数えて、今年で10年目。濱口竜介監督、脚本の野原位さん、撮影の北川喜雄さんをはじめ、あかり役田中さん、桜子役菊池さん、芙美役三原さん、純役川村りらさん、鵜飼役柴田さん、日向子役出村さん、風間役坂庄さん、淑恵役久貝さん、栗田役田辺さん、柚月役渋谷さん、みつ役福永さん、こずえ役殿井さん、大紀役川村知さん、総勢16名のキャスト・スタッフが登壇しました。
KIITOでの即興演技ワークショップから始まった本作。集まった皆さんのお話をうかがうと、映画がそれぞれの人生に大きな影響を与えていることを改めて感じました。
舞台挨拶は、当時のワークショップや撮影の思い出や、近況報告を中心に進められました。濱口監督は「その後、多くの現場を経験したが、これほど濃密で、いろいろなものを与えられた制作は他になかった」と当時を振り返られました。
キャスト陣からも、「撮影後も10年シナリオ書き続けられ、もっと自分を好きになるというキャッチコピーを実感した」「価値観が変わる経験。人の人生が変わって行く姿、その流れが見えた」「この撮影がなければ、自分はもう少し嫌な人間だったかもしれない(笑)」
など、この作品が自分たちをいかに変えたかというエピソードがさまざまに語られました。
また、ワークショップの中の「聞く」という行為について、「自分は喋りたい方だと思っていたが、相手の話をじっくり聞くことで、その場に良い『うねり』が生まれることを知った」「何を言えばいいかわからなくて待つ時間も、豊かな時間だった」「人生で1番自分を信じてもらえた時間」など、じっくり相手の言葉を聞く経験がそれほど皆さんの中で大きなものだったのだな、と改めて感じました。
その他、街の変化や10年という年月について、「時間は前にしか進まない。でも、あの時の私たちの感性や、街の空気は、映画の中にずっと居続けている。それは本当に凄いこと」「孫がもう中3。高校生になったらまた一緒に見たい」「10年ぶりに見て、その時わからなかったことがわかるようになった」など、時の流れと変わらず映画の中で生き続ける皆さんの対比を感じるコメントが印象的でした。
濱口監督は、2025年に他界された出演者(裁判官を演じられた大谷燠さん(NPO法人DANCE BOXエグゼクティブ・ディレクター/新開地アートひろば館長)、松村厚さん(映画宣伝/元・第七藝術劇場支配人))も偲ばれ、「その人を良いと思って撮ることは、場を歪ませないためにとても大事なこと」と語られました。
最後に、監督によって「年の瀬に、こうしてみんなの言葉を聞くのが、ワークショップの時からずっと好きでした。生きていて、これほど豊かに他者の言葉を聞ける機会はそうありません」と締めくくられた舞台挨拶。
10年前、何者でもなかった人々が集まり、お互いに耳を澄ませて作り上げた『ハッピーアワー』を毎年上映することができ、当館としてもうれしい限りです。
2026年も、元町映画館をどうぞよろしくお願いいたします!






























