ダンサー、振付家でもある映像作家・吉開菜央さんの短編を集めた特集「吉開菜央特集：Dancing Films」。初日の9/25(土)上映後に、吉開菜央監督と、『ハッピーアワー』『スパイの妻』では共同脚本を務められた映画監督の野原位さんによるスペシャルトークを開催しました。「目の前にあるのに見過ごしているようなものを眼前に提示される」と吉開監督作を評する野原さん。「自分にはまったくない感覚で、憧れます」と話されます。『ハッピーアワー』でともに共同脚本を務められた高橋知由さんと吉開監督がタッグを組んだ『梨君たまこと牙のゆくえ』からはじまり、吉開監督が映像制作をされる際の着想や構成法、はたまた現場のウラ話や吉開監督の世界を捉える視点などにまで、同じ映画監督として切り込んでいかれました。吉開監督作品は、観る者の五感を直接刺激するような印象があります。「音（聴覚）や映像（視覚）を通して、人に触れることができる。映画館の暗闇の中では観る方と交われるんです」と吉開監督。編集作業では映像と自分の呼吸を合わせることで、観ている人の呼吸を乗っ取りたいとも話されました。思春期には自分が人間であることがしっくりこず、ダンスでは人間以外のものになれることを知りのめり込んだという吉開監督。なるほど、この人は“ケモノ”なのだなと感じた夜でした。