『森のムラブリ インドシナ最後の狩猟民』初日6/4(土)の上映後、金子遊監督と言語学者の伊藤雄馬さんにお越しいただき、舞台挨拶を開催しました。金子監督はタイの映画監督アピチャッポン・ウィーラセタクンへの関心からタイ北部の少数民族のことを知るようになり、民族学者ベルナツィークの著書「黄色い葉の精霊」（1939年）に書かれたムラブリ族の80年後を知ろうと2017年に現地に赴いたところ、滞在しながらムラブリ語を研究している伊藤さんと出会ったそうです。「なんでこんな辺境の地に日本人が？！」と驚いたと言いますが、伊藤さんも「僕の方こそこんなところに日本人が来るなんて！」と驚いたと言い、笑いが起きます。そんな奇跡的な偶然の出会いから生まれたのが本作でした。私たちの“常識”をいともたやすく剥がしてしまうムラブリの人たちの暮らしぶりから、「“未開”の人たちだと思われているけど、実は“未来”の人でもあるんじゃないか」と伊藤監督。そこから受け取るものについてのお話は現代社会を振り返る好機だと感じます。伊藤さんがムラブリ語の挨拶をしてくれたり、工芸品のバッグを紹介してくれたりと充実した内容の舞台挨拶でした。そして翌6/5(日)は伊藤さんのみがご登壇。モン族がムラブリについて「彼らは何もしないよね」と言うときの《する》という言葉が意味するところは、文化により異なるという話はとても興味深く、動詞ひとつから見える世界の姿に言語学の奥深さも感じさせられました。