『天使／L’ANGE』5/22(土)上映後、本作を配給したミストラル・ジャパン代表でご自身も映像作家である水由章さんと、水由さんがプロデューサーを務められたアニメーション映画『緑子／MIDORI-KO』の監督・黒坂圭太さんとZoomでつないでのリモートトークを開催しました。本作との初めての出会いは20代だったと黒坂さん。最初は作品の真ん中でごっそり寝てしまい冒頭とラストしか観られなかったものの、「これはすごいものだぞ」という感覚があり、再度足を運んだところまた寝てしまい、3度目で初めて全編を通して観て、その後も再上映のたびに足を運び「13回ほど観ている」とのことです。観たことのない映像表現に多大な影響を受けたという黒坂さん。本作の影響が色濃く表れたもの、そこから脱却しようとしたもの、その後ご自身の文法を見つけ始めたものと、学生時代の貴重な作品を3本抜粋して観せてくれました。本作は80年代のミニマル・アートの流れを汲む表現が随所に見られること、オプチカル・プリンターによる技法など、映像制作をされているおふたりならではの詳しい解説をしてくださいました。水由さんが、観るたびに印象が変わると話されていた黒坂さんに今どう観ているかを尋ねると、「これは私的なロードムービー」と黒坂さん。思いもしない答えでしたが、お話を聞くとなるほど、と思わせられました。これほど観る人により解釈の異なる映画はなく、それこそが映画の自由だと水由さん。自分自身の変化が作品の解釈に大きく影響するので、人生の中で何度も観直したい作品だと話されました。