イスラーム映画祭6『ザ・タワー』5/2(日)の上映後、京都大学大学院人間・環境学研究科教授でアラブ文学者の岡真理さんとZoomでつなぎ、オンライントークを開催しました。最初に、緊急事態宣言下で来館が叶わなかったことの遺憾の意とともに、毎回パレスチナを描いた映画をセレクトしてくれている本映画祭主宰の藤本さんに感謝を述べられました。本作は、レバノン・ベイルートのブルジュ・バラジネ難民キャンプに住む11歳のワルディを主人公にしたアニメーション作品。ノルウェーの監督ですが、NGO職員の母親とともに子どものころから同キャンプを訪れていたという経験をもとにして、“ナクバ”から70年という節目の年である2018年に制作されました。“ナクバ”とはアラビア語で「大災厄」の意。1948年5月にユダヤ国家であるイスラエルが建国され、民族浄化の嵐が吹き荒れた結果70万人以上のパレスチナ人が難民となった出来事を指します。ここに至る歴史やパレスチナ人たちが受けた(そして今も受け続けている)迫害、そして彼らの意思に反して一時的だと思っていた難民生活が70年以上も続いている現状についてお話しされました。登場人物が「俺たちは犠牲になっただけ」と話すように、これは「70年の男たちの挫折の物語」だと岡さん。ワルディという名前は、アラビア語で「ローズピンク」を意味するそうです。ここにはひいおじいちゃんの強い願いが込められています。劇中で使われる起源、原初を表すアラビア語の“アスル”という言葉。キャンプで生まれ育ち、民族の成り立ちや歴史を知らなかったワルディが自分のアスルを知ることによって、いったい何者になるのか?それは観た人ひとりひとりがぜひ考えてほしいと岡さんは投げかけられ、トークを締められました。
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