イスラーム映画祭6『結婚式、10日前』5/1(土)の上映後、危機管理コンサルティング会社勤務で2004～2005年にイエメンの首都・サナアに留学されていた経験を持つ和家麻子さんのトークを開催しました。なかなか日本に情報が入ってこないイエメンですが、内戦が続き「世界最悪の人道危機」と呼ばれるような悲惨な状況が続いています。その内戦にはイラン、UAE、サウジアラビア、アルカイダなどが背後で大きく関わっており、またアメリカやフランス、イギリスも武器や戦車の提供という形で関与しています。「それはもう“内戦”と呼んではいけない。国際社会が止めなければ」と映画祭を主宰する藤本高之さんも訴えられます。そして現在映画産業のないイエメンの映画史を紹介してくださいました。1910年にアラビア半島初の映画館が南部のアデンにでき、国家主導の芸術促進活発化もあって1960年代に黄金期を迎えます。ただ1990年代からは芸術振興策が終了し、映画館は次々と閉鎖してしまいます。〈イスラーム映画祭4〉でメイン作品として上映した『わたしはヌジューム、10歳で離婚した』など、これまでイエメン人が制作した映画のほとんどは海外在住のイエメン系の監督によるもの。『結婚式、10日前』はイエメン在住のイエメン人監督らによる初の100%純粋なイエメン映画で、10日間だけの上映の予定が大ヒットして8ヶ月にわたり上映されました。ただし、現在イエメンに映画館はないので結婚式場で上映されたということです。本作は一見単純な娯楽映画ですが、監督ら若い世代が「イエメンを変えたい」と思っている強い気持ちが作品に現れている、と話されました。