『夢半ば』監督、主演、脚本の安楽涼さんの舞台挨拶を行いました。
過去の長編2本『1人のダンス』『追い風』を集大成するような傑作が『夢半ば』になります。
舞台挨拶のお話を聞いていると、安楽さんにとって30歳という区切りに、
何かは終わるかもしれないけど、まだ「(夢)半ば」という複雑な心境を感じ取ることができました。
安楽さんの故郷、東京の西葛西は常に作品の舞台で、一緒に暮らす親友たち(RYUICHIとDEG)とのドラマが物語の中心です。
それは今回の『夢半ば』でも変わりませんが、大きな新しい要素もあります。結婚を考える彼女が加わったことです。
安楽さんは言います、これまでは怒りのようなものが僕を前に動かしてきたけど、
彼女といることで生まれる幸せ、些細な仕草への愛着のようなものが大きく自分を占めるようになってきた。
配役は彼女役の大須さん以外はご自身も含めて実名での出演となっており映画監督の自画像的な要素が強いです。
だからといって矛盾するようですが単に身辺を撮るだけでは映画にならないことをこの作品自体が言っているようにも思います。
安楽さん曰く、作品の準備段階の大量のメモから抜粋して各シーンを構成し、演出でも念入りなリハーサルを重ね、ダメな時には何も撮らずに帰った。
動かない人物を撮っていても、彼や彼女の中で動く感情を想像することができます。
ただ歩く親友を撮るだけがこれほど素晴らしいとは思いませんでした。
些細な日常の風景が心にしみる映画です。
1/13(金)は盟友の片山享さん(本人役で出演&監督補佐)の舞台挨拶を予定しております。