元町映画館12周年記念企画「オキナワンダーランド ~映画で発見する沖縄」8/28(日)『島の色 静かな声』上映後、神戸出身の画家、高濱浩子さんにお越しいただき、「宮古列島にある大神島のおばあとの出会い」トークを開催しました。登場人物の一人で、劇中では豊作祈願の歌や三線を披露した西表島の文化継承を牽引する存在の石垣金星さんがこの6月に亡くなられましたが、実際に石垣夫妻に会ったことのあるお客様もいらっしゃり、若き日の姿を心に留めていただいたのではないでしょうか。
宮古島の周りの島は橋がかかり陸路移動ができる中、大神島は橋をかけず船でしかいけない、地元の人でも特別な場所と思っている島だそうですが、大神島に行ったことのあるお客様が5人もいらっしゃり、高濱さんもびっくり。島に行く船の中で島のおばあと話し、家族を大事にと命について話してもらったことが、胸にしっかり刻まれたといいます。
映画館入り口横スペースに「大神島へのオマージュ」と題した作品たちも展示してくださっている高濱さん。その絵の誕生の裏には、戻ってから命をどうやって表現しようかと苦悩する時間を経て、いずれは自分が土に戻るであろう地元神戸、六甲山に自生している雁皮を使い、住吉川で手すきをした紙を段ボールに貼った瞬間、絵のイメージが浮かんできたという長い道のりがありました。絵を描く土台となる紙に命のストーリーが込められていることは、『島の色 静かな声』で染織作家、石垣昭子さんが、目に見えることより、目に見えないプロセスが大事だと語っておられたことにも重なります。大神島の風を感じるようなトークの最後に『島の色 静かな声』について、「どうしても目に見えることや、生きていることが中心になって考えてしまいますが、死者と共にあることや、人間だものというところが見え隠れし、安心するような感じがありました」と締めくくってくださいました。『島の色〜』の上映は終了しましたが、高濱さんの展示は9/2(金)の最終日まで続きます。ぜひご覧になってください!