「夏休みの映画館2022」5日目の8/3(水)、ドキュメンタリー映画『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』の上映後、本作の平良いずみ監督と聞き手の西原孝至監督によるトークを開催しました。
平良監督は本作で登場するフリースクール「珊瑚舎スコーレ」の夜間部に通うおばあちゃんを取材したドキュメンタリー「まちかんてぃ~明美ばあちゃんの涙と笑いの学園奮闘記」(沖縄テレビ放送)を制作し、学校で学ぶことで人生を取り戻していると明るい姿を見せる背景には、戦争で学校に通えなかった深い心の傷があることを実感したそうです。その延長線上にあるという本作では、入学したばかりの菜の花さんの文章を読んで感銘を受けた平良監督が、若い世代に見てもらうことを念頭において作られたといいます。
テレビ版から映画版にするにあたり取り入れたシーンや、平良監督が想いを託されたという、今は亡き辺野古容認派の漁師さんのシーン、今回はカットになった南部での遺骨収集のシーンなど、質問にも丁寧に答えながら、作品や取材時のエピソードをたっぷりお話しくださいました。地元で、遺骨を含む土砂を辺野古埋め立てに使わないように求める請願書を市議会に提出するなど、できることを続けている現在の菜の花さんの活動にも話が及び、西原監督は「今いるところからNoの声をあげることが平和に繋がる」とその行動に感銘を受けた様子。沖縄でも学校で辺野古の問題を取り上げるのは難しいそうですが、平良監督は「学校でも主体的に社会で起きていることにアプローチできる流れを作り。『ちむぐりさ』のような映画が、政治のことを話せるきっかけになれば」と期待を寄せておられました。
本土復帰50周年を迎えても、全然沖縄の声が本土や政府に届かず、何本作品を作っても何も変わっていないことを突きつけられて無力感に捉われる一方、劇中で菜の花さんが引用したガンジーの言葉に「諦めたら終わりだ」と励まされているという平良監督。最後に10代、20代のみなさんに向けて「沖縄のことを本当に好きになってほしい。『ちむぐりさ』は人の想いに共感する言葉なので、共感力をもっと培い、沖縄の問題をわたしの問題として考えていきましょう」とメッセージを寄せてくださいました。映画を通して、沖縄で起こっている出来事や沖縄で暮らす人のことをもっと知り、考えるきっかけにしたいものです。