イスラーム映画祭7『泣けない男たち』5/6(金)の上映後、本映画祭主宰の藤本高之さんによるミニ解説を行いました。欧米ではよく行われる演劇によるセラピーを描いた本作。自身の辛い体験を、演じることにより客体化し向き合いながら傷を癒すというものです。“忘れられた戦争”と称されることもあるボスニア紛争を題材にしていますが、「一度始まった戦争は本人にとっては決して終わらない」という戦争の普遍的な側面を描いていると藤本さん。観ていて辛くなるようなシーンも多々あり、戦争が人にもたらす傷の深さを感じさせます。映画ではセルビア人、クロアチア人、ムスリム人の3民族の男たちが登場しますが、誰かを主人公にして紛争を描こうとするとどうしても目線が偏ってしまうところを、セラピーという舞台にすることでそれぞれをフラットに描くことに成功しています。戦争による傷を描くと同時に、有害な男らしさを描く作品でもあり、藤本さんいわく「男らしさという価値観の成れの果てを描いている」。男たちの姿と発言にはいろいろと感じるところが多い作品でした。
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