イスラーム映画祭7『ヌーラは光を追う』5/2(月)の上映後、本映画祭を主宰する藤本高之さんのミニ解説を行いました。本作はヒンド・ブージャマアという女性監督の初長編劇映画です。監督デビューを果たしたのは『良いはずだった明日』というドキュメンタリー映画で、2013年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されました。チュニジアを発端とする民主化運動「アラブの春」から取り残されたとも言える、障害のある息子を抱え路上に暮らすシングルマザーを追ったこのデビュー作が、本作にも繋がっています。チュニジアは1956年にフランスの支配から独立し、初代大統領が西洋の価値観を身につけた人物だったため、婚姻などについてはイスラーム教ではなく法律で定めるという、「進んでいる国」と言えると藤本さん。国際社会に存在を示すためという裏の意図が強いながらも女性の活躍を推進している面もあり、女性の映画監督も増えています。そんな女性監督の特徴として、男性や警察などの権力を「とことんクズとして」描くことが特徴だそうです。劇中でもヒジャーブを被る女性が少なかったり、また3人の子どもを持っていても女性としての自分の生き方を貫こうとするヌーラの姿はそんなチュニジアだからこそ生まれた主人公だと言えると話されました。