イスラーム映画祭7『ジハード・フォー・ラブ』5/2(月)の上映後、本映画祭を主宰する藤本高之さんのミニ解説を行いました。本作を藤本さんに紹介されたのは慶應義塾大学の山本薫さんで、学生と一緒に2ヶ月かけて日本語字幕を制作されたそうです。2007年の作品で、9.11後に高まった“アメリカの敵”に対する報復熱が落ち着いた頃だと藤本さん。その時代の空気の中、自身もゲイを公言しているパーヴェズ・シャルマ監督はムスリム、プロデューサーはユダヤ教徒と、宗教の違いを超えて【愛】についての映画を作ったのだと話されます。同性間の性行為が刑罰の対象になる国は世界で70カ国以上あり、そのうちサウジアラビア、イラン、イエメン、ソマリア、スーダン、ナイジェリアの6国では死刑にもなりうるそうです。ただ、【同性愛】と【同性間の性交】はきっちり分けて考える必要があると訴えられました。映画ではイスラーム教のクルアーンを紐解いても、同性愛を禁止しているという明確な根拠はなく、解釈によるものだと語られます。同様にタイトルにもある「ジハード」という言葉は「聖戦」と訳されますが、「神のために努力する」というのが本来の意味だそうです。私たちが普段イスラームに対し知らず身についているバイアスを解いてくれるお話でした。