『岡本太郎の沖縄 完全版』9/4(日)の上映後、葛山喜久監督にお越しいただき、舞台挨拶を開催しました。1930年代にパリで前衛芸術運動に参画し、帰国後は自身のアイデンティティを深く見つめるべく日本を再発見する旅に出た芸術家・岡本太郎。「日本人とは何か？自分とは何か？」探究の旅の最後にたどり着いた沖縄で、太郎の目がとらえた、太郎にしか見ることができなかった景色を収めた写真集「岡本太郎の沖縄」は2000年に刊行されました。他用で訪れた図書館で偶然目にした本書表紙の久高ノロの写真に一瞬で惹き込まれたという葛山監督。深く静かで美しい瞳には、実は太郎と敏子が写り込んでいます。そこから太郎が旅した足跡を辿る映画制作の企画が誕生しました。その中で葛山監督が発見したのは、芭蕉布づくりで人間国宝となった平良敏子さんの変わらぬ営みでした。芭蕉布会館へと続く坂道を歩く平良さんの姿は太郎の写真にも収められており、偶然にも同じ場所、同じアングルで同じように歩く平良さんの姿を映画のカメラも捉えていました。「つい昨日も同じことをされているんです」。50年以上を経ながら変わらぬ営みを続ける平良さんの姿に、沖縄そのものの姿を見たような気がしたとそうです。そして映画に登場するおばぁたちを観て、そこに自分の祖母の存在を見たというお客さまの感想がとても嬉しかったと話されました。