元町映画館の人気講座「池谷薫ドキュメンタリー塾」から生まれた映像制作サークル「元町プロダクション（通称：モトプロ）」から誕生した、初の劇場公開作品『僕とオトウト』。初日の10/30(土)上映後、髙木佑透監督と、本作でプロデューサーを務められた池谷薫さんのトークを開催しました。最初から障害者に特別な関心があったわけでも、ましてや映画を志していたわけでもないという髙木監督。重度の知的障害をもつ弟・壮真にカメラを向けるまでの経緯を最初にお話しいただきました。「映画監督になりたい」というところから出発しておらず、池谷さんが「時には嫉妬する」と言う“プロには撮れない”セルフドキュメンタリーを中心とした作品制作がモトプロの特徴でもあります。池谷さんは、髙木監督は弟の壮真さんととても仲が良いがために「ホームムービーの域をどう超えていくか」が課題だったと話します。〈映画〉にするためにはどのようなシーンが必要なのかなど、髙木監督と二人三脚で歩んできた制作を振り返ります。その制作の過程で髙木監督自身に気づきが生まれ、それが記録されていく映画となっていきます。弟だけでなく、母、父との関係も映し出される作品で、髙木監督は「自分の気持ちを“ぶつける”のではなく“差し出す”ことで、相手に受け取ってもらえたり何かを返してもらえたり、さらに絆が深まっていく」ことを経験したと話されました。コロナ禍でコミュニケーションが分断されてしまった今公開されることでまた意味を持つ映画だと池谷さん。髙木監督も大切な人にまっすぐに思いを伝える、そんなことを観た人に考えてもらえたらとメッセージを送られました。