今年で生誕130年ハロルド・ロイドの代表作『ロイドの要心無用(1923)』に続き、公開当時はチャップリンの『黄金狂時代』の動員を上回ったという全米大ヒットコメディ『ロイドの人気者(1925)』。鳥飼さんも自身初の伴奏という本作では、舞台のモチーフとなった当時のイェール大学の学生歌を取り入れ、仮縫い服でのパーティーシーンでは、爆笑を誘う呼び鈴を足で踏み鳴らしながらの熱演。新しい環境に身を置く春にふさわしい作品を、観客のみなさんに楽しんでいただきました。
ロイドが試行錯誤を重ね、どこにでもいそうな親しみの持てるキャラクターとして定着したのが黒縁メガネキャラ。本作でも黒縁メガネの新入生ロイドが、大学の人気者を目指す中での悲喜こもごもをロマンスも交えて描いています。『ロイドの要心無用(1923)』から進化した部分として、主人公が見栄を張ったまま成功して終わるのではなく、途中で化けの皮が剥がれてしまう描写を挙げた鳥飼さん。ロイドの魅力は、本作のようにロイド的ペーソスが味わえる部分とし、キートンやチャップリンよりもさらりと、むしろ自分たちに近い、あるある感覚で共感させてくれると分析。キートンやチャップリンがコメディアン出身なのに対し、ロイドは舞台役者出身であることも大きな違いで、「コメディアンを演じている役者」なので自然な、心がキュンとなる演技ができると話されました。
元町映画館のSILENT FILM LIVE #19「ハロルド・ロイド生誕130年祭」は3/31まで!