
イスラーム映画祭6『痕跡 NSU ナチ・アンダーグラウンドの犠牲者』5/4(火)の上映後、ドイツ映画研究者の渋谷哲也さんにお越しいただき、「映画『痕跡』の新しさ ―移民社会を生きる普通の人々」と題してトークを開催しました。研究で2019年に一年間ベルリンに滞在されていた渋谷さん。元町映画館のような小さな映画館が街なかにはたくさんあり、本作もベルリン市内のそういった映画館4~5館で上映されていたそうです。ベルリンで本作を観て、「これはイスラーム映画祭にぴったりではないか」と、渋谷さんから本映画祭主宰の藤本高之さんに作品を紹介されて上映が実現しました。本作は、ナチを名乗るテロリストグループ【NSU】に襲撃され何人ものトルコ系移民が命を落とした事件を題材に、ドイツ(広くヨーロッパ、でも)社会に生きるムスリムが受けるヘイトクライムについて訴えます。この事件がメディアなどドイツ社会で取り上げられる場合、「なぜ彼らはこのような凶行に及んだのか」という視点ばかりで、被害者がどのような人物でどのような暮らしをしていたかということは取り残されていました。そのことに疑問を感じた、自身もトルコ移民であるアイスン・バデムソイ監督は、単に真実を明らかにするというものではなく、「被害者の声に耳を傾ける」ことを徹底した作品をつくりました。移民という出自や女性であることにかなり自覚的で意識的にそれらをテーマに据えた作品をつくり続けている監督です。本作のナレーションも監督自身が務めており、ベルリンで監督に会ったという渋谷さんは、「映画の印象そのままの、静かで理知的な方。本作では死者を悼む行為をちゃんと見せる、ある意味“映画的スペクタクル”とは真逆の作風」と話されました。
















