イスラーム映画祭6『汝は二十歳で死ぬ』5/3(月)の上映後、防衛大学校准教授の丸山大介さんとZoomで繋ぎ、オンライントークを開催しました。スーダンという国について、そして「イスラム神秘主義」とも呼ばれるスーフィズムについて解説され、映画について「①ムザンミルと家族はなぜ予言に翻弄されたのか」「②デルビーシュは宗教的に盲目なのか」「③予言直前に行われていた実践とは」と3つの問いを解いてゆく形でトークを展開されました。スーフィズムは内面的な信仰へと沈着していき、究極的には神との合一を目指す思想や実践のこと。9世紀ごろに現在のイラク周辺に端を発し、12世紀ごろにシャイフと呼ばれる師匠を中心とした流派や集団が形成されるように。そして秀でたシャイフは聖者とみなされ、崇敬の対象になっていったそうです。イスラーム教的に「聖者崇敬はアリなのか」という問題は、意見が分かれるグレーな部分だと丸山さん。民衆と神との距離は遠く、神に近しい聖者がその間を取りなして願望を成就させるという形は、「企業でもヒラ社員はなかなか社長に会えないじゃないですか。まずは直属の課長や部長に話をするというのと一緒です」という喩えには客席に笑いが起きます。そして現地では有名なシャイフはポスターになって売られていたりお菓子のパッケージになったりしており、「もはやプロ野球チップスですね」というこれまた絶妙な喩えにふたたび笑いが。数十人のシャイフの写真が並ぶポスターでは、「この中からみんな“推し”シャイフを見つけるんですね」との言葉に客席は大爆笑。シャイフが民衆に寄り添った存在であることをわかりやすく伝えてくれました。そして現地で撮った教団ごとに異なる「ズィクル」と呼ばれる祈り(アッラーに思念を集中し心の浄化を目指す実践。陶酔を促すようなものもある)の貴重な動画を見せながら、宗教というだけでなく集団でひとつのことをやり遂げる共同体的な側面も強いと話され、最後に3つの問いへの回答を示されました。
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