『裸のムラ』1/22(日)に五百旗頭幸男監督による舞台挨拶を開催しました。神戸出身の五百旗頭監督。前作『はりぼて』上映時も登壇くださいましたが、最初に五百旗頭監督から「前作『はりぼて』をご覧くださった方はいらっしゃいますか？」とお客様に問いかけると半分以上の方が手を挙げられました。「勧善懲悪な『はりぼて』のようなものを期待して見て下さった方は肩透かしを食らったかもしれませんが…」と前置きされた五百旗頭監督。五百旗頭監督が富山のチューリップテレビから石川テレビに移籍した当初はコロナ禍が始まった頃、人間だったり社会の欲望がむき出しになったと感じられたそうです。その「空気」を描いてみようというのが取材の始まりだったそうです。石川県庁に取材に行くと、メディアへの警戒心・知事に対する職員の方々の忖度の度合いなど、同じ長期県政でも富山との違いを明確に感じられたという五百旗頭監督。石川県政とともに本作の核にもなるムスリムの家族は、別の特集の取材でお会いした家族だったそうです。取材を続けていくうちに、「長期県政が男性中心のムラ社会であるなら、ムラ社会から弾き出されたのがムスリム」という対比構造が生まれ、そこからまた対比対象としてバンライファーの家族にたどり着き、3つの被写体が決まったそうです。舞台挨拶の最後には「皆さんが見て見ぬふりをしてきた世界を描いたつもりです」と話された五百旗頭監督。目に見えない「空気」を描いているからこそ、わたしたちが生きる社会・政治についてもう一度考え直す機会をくれる映画なのではないでしょうか。