「現代アートハウス入門 ネオクラシックをめぐる七夜 Vol.2」12/17(金)の『イタリア旅行』上映後、映画監督の三宅唱さん、映画編集者の大川景子さんによるレクチャーがライブ中継にて開催されました。三宅監督のレクチャーでは、本作の監督ロベルト・ロッセリーニが映画を撮り始めた当時の社会経済状況からネオ・レアリズモの興隆を説明した上で、「(ネオ・レアリズモとは)私たちはどんな場所にいてどんな街でどんな人が何を考えて生きているのか、そういったものに立脚した映画を新しい映画文化の中で撮っていこうとすること」と監督なりに定義づけ、そういった“街で撮る”歴史を経て自分がいると語られました。脱スタジオ的になったネオ・レアリズモ以後の映画では演技が対人間から対世界に変化し、本作はメインの2人が世界を「見る」ことについての映画だと三宅監督は語られ、一方、大川さんは編集によって別の世界(時間・空間)がつなげられる「強い編集」ではなく、飛躍しない「弱い編集」が際立っていると映画編集者ならではの切り口から語られました。
また、「監督もかなり試される立場にあるんだなと思った。現場で(監督の撮りたい)状態を提示しても現場の人たちにはいまいち伝わらない。それでも”撮る”ことで“起こる”んだ、ってメンタルがないと。そして編集者は監督が信じて撮ったその瞬間を見逃しちゃいけない」という言葉が非常に印象的でした。