「夏休みの映画館2022」最終日の8/5(金)、ジャック・ドゥミ監督の映画史に残るミュージカル映画『ロシュフォールの恋人たち』の上映後、フランス・オーシュ市のミニシアター「Cine32」のブランディーヌ・ボーヴィーさんによる映画の授業(動画)を開催しました。
ミュージカル映画とはそもそもどういう映画かの説明からはじまり、大ヒットミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』がオマージュを捧げたという本作も、実はハリウッドのミュージカル黄金時代の名作から引用したシーンが多いことを解説。音楽を担当した名作曲家ミシェル・ルグランのおかげでキャスティングが実現したのが、ミュージカル界の大スター、ジーン・ケリー。彼がその人気を決定的にしたハリウッドのミュージカル映画より、『雨に唄えば』のシーンを振り返りながら、どのように本作へ取り入れられたのかを丁寧に説明してくださいました。ちなみにジーン・ケリーは自ら振り付けをし、タップダンスでつまづかないように、道を舗装し直したという逸話も。
フランス側のキャストでは、W主演のカトリーヌ・ドヌーヴ、フランソワーズ・ドルレアックの紹介に加え、双子姉妹の母を演じた、30年代からミュージカル俳優として活躍したダニエル・ダリューに触れ、唯一吹き替えなしで歌を歌った名優と讃えました。ダイナミックなワンシーンワンカットの説明を交えながら、ジーン・ケリー演じるアンディとフランソワーズ・ドルレアック演じるソランジュの出会いのシーンを演出するジャック・ドゥミ監督の様子を撮影した貴重な動画も挿入し、撮影エピソードも盛り込んでくださいました。本作と『ローラ』『シェルブールの雨傘』というジャック・ドゥミ監督の初期3作は、港町を舞台にし、母としての境遇も共通していることにも触れ、非常に充実した映画の授業となりました。この日お配りした鑑賞ノートもぜひ参考にしていただき、また機会があればぜひ味わってほしい作品です。