「夏休みの映画館2022」初日の7/30(土)『セロ弾きのゴーシュ』を上映後、来住姫乃さん(Cello House代表)、井上康夫さん(大阪芸術大学演奏学科 非常勤講師)によるチェロ二重奏コンサートを開催しました。高畑勲監督の作品を35ミリフィルムのニュープリントバージョンで上映するということで遠方から駆けつけてくださったファンの方や、親子やご家族でお越しいただいたりと満席のお客さまの中で、来住さん、井上さんの2本のチェロによるコンサートがスタート!
元町映画館でチェロのコンサートは初めて。人間の声に一番近いというチェロの包み込むような音色が心地よく響き渡りました。来住さんは自身の音楽活動に加え、子どもたちにチェロをはじめとする音楽指導活動もされています。小学生時代に元町商店街にあった大型楽器店YAMAHAでチェロの先生に出会ったのがこの道に進むきっかけだったそう。明石でチェロと出会い、演奏活動を続けている井上さんと楽しいMCを交えながら奥行きやバリエーションのあるチェロ二重奏を披露してくださいました。途中で「チェロや弓はどんな素材でできているの?」「チェロや弓の持ち方は?」とチェロについての基礎知識を紹介してくださり、貴重な生レクチャーとなりました。
チェロの魅力を発揮するメジャー曲、「主よ、人の望みの喜びよ」「グリーンスリーブス」「プレリュード」&「アベマリア」や童謡メドレー、「虹の彼方ヘ」(『オズの魔法使い』より)、「あの夏へ」(『千と千尋の神隠し』より)など、馴染みのある曲もチェロ二重奏で聞くと、音の魅力がより際立ちます。そして『セロ弾きのゴーシュ』上映後だからこそ、より感動を呼ぶ劇中曲では、ゴーシュがタヌキと合奏する「ゆかいな馬車屋」を演奏してくださり、さっき映画で観たシーンがまさに蘇ってくるかのよう。コンサートの最後には、劇中で2度登場し、ゴーシュの成長を表す曲でもある「インドの虎狩り」を映画そのままのアレンジで演奏してくださり、その迫力のある演奏に大きな拍手が送られました。実はこの曲の楽譜は一般に出回っておらず、82年劇場公開当時に同作を鑑賞した井上さんが購入したパンフレットに載っていた楽譜をそのまま演奏したのだとか。「いつかは演奏したいと思っていたけれど、『セロ弾きのゴーシュ』上映後に演奏できる日が来るなんて」とコンサート後に喜びのコメントを寄せてくださいました。
「この日がみなさんの夏休みの思い出の一つになればうれしいです」(来住さん)、「今日聞いたチェロの音は覚えていてくださいね」(井上さん)と、思い出の種を撒いてくださったおふたり。時折聞こえる赤ちゃんの泣き声もチェロの音色と響き合い、「夏休みの映画館2022」らしい素敵な時間を過ごしていただけたのではないでしょうか。