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「イスラーム映画祭8」『そこにとどまる人々』佐野光子さんオンライントーク開催しました!

「イスラーム映画祭85/3() 『そこにとどまる人々』上映後、「エリアーン・ラヘツとナディーン・ラバキー ー”アラブ”にこだわる監督たち」と題して、アラブ映画研究者の佐野光子さんによるオンライントークを開催しました。前半はレバノン内戦の歴史を紐解きながら、『そこにとどまる人々』について解説していただきました。1943年に独立したレバノンは、政治制度の面でも人口の多いキリスト教徒に優位な設計がされていましたが、70年代になるとイスラーム教徒が増加やPLO本部がレバノンのベイルートに移転(黒い九月事件)したことなどが背景となり、75年よりレバノン内戦が勃発、90年の内戦終結まで15年間続きました。この日3本目のプログラムとなったナディーン・ラバキー監督作『私たちはどこに行くの?』は、終結直後の緊張した状況下を描いています。また、イスラーム映画祭上映作品の『西ベイルート』やアニメーション映画『戦場でワルツを』など、多くの映画の題材になっていることにも触れました。

シリアに隣接するクバイヤートが舞台の『そこにとどまる人々』は、レバノンのマロン派キリスト教徒であるエリアーン・ラヘツ監督が、そのコミュニティーに入って撮ったドキュメンタリー作品ですが、逆に同じマロン派コミュニティーでも一枚岩ではないことを示していると佐野さん。主人公ハイカルは同コミュニティーで土地を巡って対立する友人もいる一方、自分の店で13年間働いているムスリムの女性に信頼を寄せており、宗派というより行いで相手を判断する人だと分析。鋭い質問を交えながら、広くレバノン全てに共通する構造や記憶を呼び起こし、突っ込んだ内容が見て取れるドキュメンタリーと評価されました。

後半はレバノンのキリスト教徒でありながら”アラブ”にこだわるふたりの女性監督の活動に迫りました。ラヘツ監督は2001年の長編デビュー作『So Near Yet So Far』でパレスチナ難民をテーマにしており、「世界的に見ればイスラエルで起きた極めてローカルな事件を、集団の記憶に残るチャーリー・チャップリンの作品(『キッド』)と重ねることで普遍的な悲劇と訴えた」と佐野さん。その作風は70年代シリアで生まれた映画運動「オルタナティブ・シネマ」(今回劇場初公開される『太陽の男たち』はその代表作)を想起させます。また映画NGO「ベイルートDC」の立ち上げや、アラブ映画祭「ベイルート・シネマ・デイズ」での芸術監督就任など、ラヘツ監督が宗派関係なくアラブ全体をその目の中に収め、アラブ映画のために尽力している人であることを力説されました。

そんなラヘツ監督と同じ大学(サン・ジョゼフ大学舞台・視聴覚研究所)出身のナディーン・ラバキー監督は俳優としても活躍しており、35ミリフィルムの経験を積むため、まずビデオクリップやTVCMの世界で力をつけ、2007年に初長編劇映画『キャラメル』を撮ったと解説。作品ごとにアラブ映画の先達たちにオマージュを捧げており、ラバキー監督にも”アラブ”へのこだわりが伺えます。さらに佐野さんは『存在のない子供たち』カンヌ国際映画祭受賞時のエピソードを披露しながら「レバノンの高学歴なキリスト教徒は、アラブカルチャーを下に見る人が多いが、ラバキー監督はそれを誇りに思っている」とし、今後も応援していきたいと力を込めました。ラバキー監督の『キャラメル』『私たちはどこに行くの?』を同日に鑑賞できる、主宰者の藤本さんも太鼓判のレバノン映画特集にふさわしいトークで、両監督の強いアラブへの想いと、その背景を感じ取れたのではないでしょうか。

  • 関西(神戸・元町)の映画館(ミニシアター)。新着情報(ニュース・お知らせ)、タイムスケジュール、上映作品、イベント、連載ブログ、前売券など当館についての情報はこちらから。
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所在地
〒650-0022
神戸市中央区元町通4丁目1-12
JR・阪神電車「元町」駅西口より、南西へ徒歩6分
神戸高速鉄道「花隈」駅東口より南東へ徒歩6分
神戸市営地下鉄海岸線「みなと元町」駅2出口より北へ1分

当施設には駐車場・駐輪場がございませんので、公共の交通機関をご利用ください。

電話:078-366-2636

通常鑑賞料金

一般 1,800円
学生(学生全般) 1,000円
シニア(60歳以上) 1,300円
障害者 1,000円
神戸映画サークル会員(会員証提示) 1,300円

作品により料金が変動する場合があります。
神戸映画サークルへの入会は当該団体にお問い合わせください。

特別鑑賞料金

ファーストデー(毎月1日) 1,300円
サービスデー(毎週水曜日) 1,300円
いっしょ割(毎週月・金曜/2名さま以上) 1,300円
映画の日(毎年12月1日) 1,000円
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