イスラーム映画祭7『泣けない男たち』5/1(日)の上映後、国立民俗学博物館でユーゴスラビアの音楽文化を中心に研究をされている上畑史さんのトークを開催しました。
見た目や言語の同じ『泣けない男たち』の登場人物たちを名前や些細な所作から民族を推測し、解説してくださいましたが、「誰がどの民族かを推測、分類するこの態度こそが、戦争を引き起こしているのではないか」と上畑さんは語ります。
多民族の共存や寛容性を掲げて形成された国家だったものの、それが紛争を引き起こすこととなった一方で、分断された人々を結びつけているものもあり、それはサッカーや飲み会文化であり、そこには音楽が欠かせないと言います。
ユーゴスラビアを構成する国ごとに歌手やメディアは異なりますが、音楽市場はユーゴスラビア全体で共有されており、ユーゴスラビアを歌った曲が多数あることを、実際に音楽を流しながら紹介してくださいました。
「”ユーゴスラビア人”というアイデンティティこそ確立されなかったものの、音楽文化を通したユーゴスラビアのコミュニティは今でも形成されている」と、今尚続くユーゴスラビア文化に触れてトークを締められました。