「イスラーム映画祭7」4/30(土)の『ソフィアの願い』上映後、映画の舞台でもあるモロッコに滞在中の立命館大学国際関係学部准教授・鳥山純子さんによるリモートトークが開催されました。映画序盤で「また望まない妊娠の話か…」と鬱々としながら見ていた鳥山さん。中東についての語りが文化や宗教に偏向し、政治や経済については語られにくいことに触れつつ、経済格差も踏襲した上で古典的な女性のイメージを鮮やかに覆す後半の展開に驚いたと言います。また、今作に登場する女性たちそれぞれのモロッコ社会における社会階級差とそこに起因する各人のプライオリティ、行動原理を細かく読み解き、今作を「豊かだけど複雑で、決して表面的でない、何が苦痛で何が喜びか、一概には言えないそれぞれの生き方を映す」と評価しながら消費者にとって都合の良くないリアルなシスターフッドの形を指摘されました。最後には、私たちの生きる現実(女性の抑圧も含め)がすべて人工的に作られたものだとしたら、(モロッコにおけるイスラーム法など)何を重視するかも私たちの選択であり、この映画をどう捉えるのか自分自身で考える必要があるという重要な指摘を投げかけて終了しました。