
『とりつくしま』10/19(土)の上映後、東かほり監督、出演の安宅陽子さん、プロデューサーの市橋浩治さん(司会)の舞台挨拶を開催しました。
本作は、ワークショップを通して作られた映画で、監督の母(東直子さん)が書いた小説が元になっています。原作の11編のうち4編が映像化されたそうで、とりつかれる”モノ”に登場するアイテムも、監督が幼少期に使っていたものや、実家にあったものなど、身近でよく知っているものが使われた話が多かったといいます。
出演の小泉今日子さんのキャスティングについても、小説との縁から決まったそうで、ラジオで原作本を紹介していただいた時にタイトルを読み上げる声が忘れられず、声をかけたとのことです。各話には隠れセリフもあり、特に4話目のセリフは一度で気づくのは難しいため、何度も観る楽しみがあると話されました。
小泉さんが演じる「とりつくしま係」について、監督は「原作では抽象的なイメージだったが、ものに魂が宿ることがファンタジーに思えず、人として存在させたいと思った」と述べられました。小泉さんと共演した安宅さんは、「そうそう出会えるような人じゃないという緊張感と、物語の中の魂とこの世のものとは思えない存在と初めて会って話していることが作品とリンクした」と語られました。
安宅さんは役を徹底的に作り込むために、病気で亡くなるまでの母親としての日記を実際に書いていたとのことです。物語が死後の世界を描いているため、台本を読む前に、それまでの人生がどうだったかということに一番時間をかけて考えたと言います。これにより、母親特有の温かさや優しさがリアルに感じられる作品となっています。
Q&Aの時間では、2年前に妻を亡くされ、グリーフケアの一環として鑑賞されたお客様から感想が述べられました。監督も自身の母の病気を通じて命について考える時間を持ったことを明かし、涙をこらえきれない様子が印象的でした。今回の舞台挨拶では、観客それぞれが映画を通じて、大切な人についてじっくり考える良い時間であったと感じます。心温まる、優しくて素敵な映画なので、より多くの人に届いてほしい作品です。

















