
『SUPER HAPPY FOREVER』10/12(土)の上映後に、五十嵐耕平監督の舞台挨拶を開催しました。
本作は、伊豆のリゾート地を舞台に、5年前と現在のとあるひとときのなかで起こる人々の邂逅と別離を描いた物語。俳優の佐野弘樹さんと宮田佳典さんから「自分たちで映画を作りたい」と直接連絡を受け、本作の製作とお二人の出演に至ったそうです。
構想期にはコロナの流行やご友人の急逝を経験され、「(コロナ禍の終わりごろ、)やっと生活が普通に戻るというけれど、色々なものが変わって多くの人が亡くなった。それでも現在が何事もなかったように続いていくのを不思議に思っていました」と、五十嵐監督ご自身の死生観の転機が物語形成に与えた影響を明かされました。
本作のキーアイテムは「赤いキャップ」。ヴィンテージらしく褪せた風合いの赤色と、伊豆の海の水光煌めくマリンブルーとのコントラストが印象的です。「キャップという物自体に『取るに足らないどうでもよさ』がある。すぐ失くすしよく落ちている。なのに、失くすと忘れられないのはそこに思い出が宿っているからで、失くすことによって初めて記憶に刻まれます」と、その発想をお話しされました。
作中で5年前の出来事として回想される、佐野弘樹さん演じる佐野と山本奈衣瑠さん演じる凪との幸福な触れ合い−二人が出会った日の深夜、コンビニ前でカップラーメンを交換して食べるワンシーン−について、監督は「誰でもやったことのある、どうでもいいことが良い。ああいう(恋人未満の)関係性でなんでもないものを食べるというのは、ずっと記憶に残っているものです」と、普遍性が持つ追憶の可能性を指摘されました。
「あまり幸せなことは起きない辛い日々であるし、人はいつか皆死んでなくなってしまうものですけど、生活のちょっとした幸せや喜びみたいなものがこの世界に留まり続けるといいな、と。そういう喜びを噛み締めながら生きていけたらなと思います」と、舞台挨拶を締め括られた五十嵐監督。こと直列した時間軸において現在だけを注視すると、無常ばかり感じてしまいがちですが、少なくとも自分の内側にある過去の思い出は侵されることのない永遠なのだと思います。ひとときの幸福な記憶が決して失われないよう、永遠の祈りが捧げられた作品です。















