
ピアノの生演奏付きでサイレント映画を楽しむ「SILENT FILM LIVE」、2022年春の企画は“女性映画”を4作品3プログラムで特集しました。『狂熱』『微笑むブーデ夫人』はフランス映画中編の2本立てです。『狂熱』は港町の酒場を舞台に繰り広げられる一夜の愛憎劇。いわゆる“フランス映画らしさ”の方向づけをしたと言われ、批評家出身で今も映画賞に名を残すルイ・デリュック監督の作品です。モノクロながら場面によって青や黄色などの色がつけられています。映画の初期にも、「色をつけたい」という願望は強かったようで、ジョルジュ・メリエス監督の『月世界旅行』などはフィルムひとコマひとコマに手作業で塗り絵のように色を塗った“彩色版”があると鳥飼さん。それよりも簡便な方法としてフィルム自体を染めてしまう“染色版”が今回のようなもので、色により場面の演出をするという方法です。演奏は色気を感じつつ物哀しいメロディで、「フランスの“香り”を漂わせたかった」と話されます。『微笑むブーデ夫人』は、今回の企画の中で唯一の女性監督による作品。夫を嫌悪する妻の心情が、ユニークな映像表現を用いて語られます。精神的に追い詰められていく妻の姿を「怖く」表現することもできる作品ですが、鳥飼さんの演奏では夫の姿を「あえてユーモラス」に表現することで、クスリと笑えるような作品に観せてくれ、演奏の力を改めて感じさせてくれる作品でした。
















