
3月20日の『鹿の国』上映後に弘理子監督の舞台挨拶を開催しました。
諏訪大社で長年続けられてきた、鹿を神に捧げる神事を丁寧に追った本作。
監督はこれまで諏訪には縁がなく、もともとは本作のプロデューサー・北村皆雄さんが諏訪大社の神事の記録を撮り始めたそうです。そこで、鹿の頭を捧げる御頭祭(おんとうさい)などをみた時、ご自身がネパールなどでみてきた動物供犠との共通点を見出し「面白いものができる」と確信されたそうです。
「なぜ鹿なのか」という点については、「鹿の成長と穀物のサイクルが似ている」「田植えの頃に鹿の角も出てきて、稲が実る頃に鹿も繁殖期を迎え、稲刈りが終わると鹿の角も落ちる。それに重ねて祈りにしてきたのでは」と話されていました。
アーティスト・大小島真木さんの絵が美しいパンフレットについても、「表紙は鹿が死んで大地に戻る様子、対になる裏表紙は新しく生まれた鹿の命が描かれている。死にゆく鹿の目が最後に何を見るのか、という事も考えてみてもらえれば」と仰っていました。
パンフレットは「ガイドブック」と称されており、映画をさらに詳しく知ることができる内容になっています。
映画の中に出てくるベテラン漁師の方曰く「一番最初に鹿を仕留めた時の感覚は忘れられない」そうで、命をいただく感覚はぬぐいがたく、それを救うために生きた祈りで昇華してきたのでは、とも話されていました。
「他の命を糧にする。めぐる自然の中で人間も生きているという事を忘れないために神事がある。鹿は命の循環の象徴」というのは作品からも感じられます。
舞台挨拶後のサイン会では皆さん熱心に監督とお話されていました。神戸では「害獣」というくくりに入れられることもある鹿ですが、何百年も前から続く諏訪の神事を通して、改めて人々がどのように動物や自然をとらえてきたのか、想像を巡らせられる作品となっています。















