
今回のテーマは「ドイツ無字幕映画の世界」。
上映前、アートとして映画ならではの表現を追求するため、無字幕映画が制作された背景
を説明いただきました。
本作は無字幕、かつ神秘主義的なシーンもありややストーリーを追いづらい作品ですが
(物語のヒントとなる原題の直訳は「影 ある夜の幻影」)、鳥飼さんの伴奏によるアシ
ストでかなり見やすくなっています。今回、途中で登場人物の心理を表す幻想的なシーン
に入るところで、その始まりと終わりにインドの鐘を使うという工夫が。影が不思議に動
くカットと相まって、登場人物と一緒に観客も夢の世界へ誘われます。
原作は『吸血鬼ノスフェラトゥ』のプロデューサーである美術家のアルビン・グラウ。
グラウは神秘主義に傾倒しており、それを広めるために『ノスフェラトゥ』も生まれたそ
うですが、その制作会社が権利関係のトラブルでなくなり、別の会社を立ち上げて改めて
制作したのが本作だそうです。
影絵がモチーフで光と影の描写が印象的ですが、「グラウからかなり注文が入ったので
は」と鳥飼さん。
美術家による映画だからか、確かに調度品がオリエンタルな雰囲気だったり、途中に出て
くる影絵も中国風。伯爵妻の個性的な髪形など、そんな画面も見どころの一つです。
伯爵夫人の不貞や伯爵の嫉妬、夫人に群がる男性たちの欲望を、行きずりの影絵師が暴い
て見せる本作。この影絵師のジャケットの裾がずっと跳ねていたり、最後に退場するシー
ンで豚に乗って去るところなど、「影絵師=悪魔のイメージなのでは」と鳥飼さん。
その影絵師に自分たちの業を見せられ、一線を超えずに済むという結末は、「悪魔に諭さ
れた、という話になりますね」と結ばれました。
この影絵師の男が、最初はかなり胡散臭い印象ですが、最後はちょっとお茶目で人を導く
“よい悪魔”に思えてくるのは鳥飼さんの伴奏のなせる業でしょう。
『戦く影』は7 月16 日(水)にも上映します。
この機会に是非ご来場ください。














