
『Retakeリテイク』3/7(金)の上映後に、中野晃太監督、千葉龍青さんの舞台挨拶を開催しました。
本作は、高校生活最後の夏に手探りで映画づくりに挑む学生たちのかけがえのない時間を、虚実を横断するユニークな手法で描いた青春映画。PFFアワード2023でグランプリに輝いた話題作です。
制作経緯について、中野監督は「高校時代から始めた映像制作ですが、大学卒業後は自身の制作よりも生徒に映像作りを教える立場になりました。主演の麗は当時の受講生。そのときの彼女たちの映画づくりの様子がそのまま映画になっています。あとは、自分の学生時代の映画作りの失敗とか、『この時間がずっと続けばいいなあ』と本当に思っていたことを映画にしました」と語りました。千葉さんは「遊は麗ちゃん自身の実体験の演じ直しで、主人公の景(演:武藤優汰さん)は完全に中野さんの投影なんです」と話し、この物語自体が2人の”演じ直し=Retake”であることを明かしました。
キャスト5人の親密な関係性は映画作りの楽しさそのものでもあるようで、千葉さんは「現場では、出番の無いキャストが人払いをしたりマイクを持ったりしていました。そういう意味で、中野さんだけが監督という感じではなかった。みんなでやらなきゃ中野さんの撮りたい画が撮れないから(笑)」と振り返りました。さらに、「遊たちが映画を撮っていたのと同じ感覚です。中野さんは対話する人なので、現場は風通しが良かった。その空気感はスクリーンにも映っていると思います」と語り、チームの和やかな雰囲気がうかがえました。
トークでは、本作の構造上のカラクリである『テイク2』以降に発覚するメタ的な展開についても言及が。中野監督は「生きていて『あ、これ映画みたいだな』って思うときがたまにあるじゃないですか。ある種、客観的な目線で。そういう感覚があった」と語りましたが、『観客にも”観ている自分””作っている自分”を意識させるかのような仕掛け』は意図的ではなかったそう。これを踏まえた、司会の「映画は観客に見てもらって初めて映画になるという言説を改めて体感した」という指摘には、お二人とも深く頷かれていました。作品が観客の中で別の意味を持ち始めること、観客が物語の一部になるような感覚が生まれることは、映画という表現の持つ力なのかもしれません。
映画作りの現場の熱量や、そこで交わされた時間の尊さを映し出しながら、わたしたち観客に『映画とは何か』という問いを投げかける本作。作品が持つ多層的な魅力と、その背後にある作り手たちの想いが深く伝わる舞台挨拶となりました。
















