
「イスラーム映画祭10」5/8(木) 『怒れるシーラ』上映後、「ブルキナファソの女性監督が世界に訴える、”サヘル危機”とは?」というテーマで、ジャーナリスト/アジアプレスの岩崎有一さんによるトークを開催しました。
2013年からマリとブルキナファソを取材してきたという岩崎さんは、取材時の写真を交えて、まずは本作が描くサヘル危機について詳しく解説していただきました。アフリカ大陸北部のサハラの南側一帯がサヘルと呼ばれる地域で、そのサヘル地区でさまざまな武装勢力がマリ北部に集まりマリ全土に発展したマリ危機が、さらに隣国のブルキナファソに拡大し、サヘル危機と呼ばれています。本作でシーラを貶め、放置したイェレが率いるのは架空のアルカイド勢力であり、サヘル危機による避難民は200万人を超えています。
「ジハディストは恐怖を効率的に使用する」と岩崎さん。現地取材で聞いた酷い実例や、病院、学校、役所など町が機能するのに必要な場所を破壊すると、巧妙なやり口を紹介されました。本作でも拉致された女性たちが何カ国もの言葉で話し、出身地にも触れていることからその影響力の大きさが伺えます。
また「ジハディストの内面と内情を伝えるシーンがいくつもあった」と岩崎さんは指摘し、私利私欲に満ちた集団であることを映画のシーンを交えながら紹介されました。さらに、シーラたちの一行が遊牧民フラニであることも本作の大きなポイントとなっています。
フラニはブルキナファソだけではなく、セネガル、モーリタリアなど広くアフリカの地に暮らしている遊牧民ですが、2016 年にフラニを中心としたはブルキナファソ最大勢力のジハディスト集団、JNIMが誕生したことが大きく影響し、それ以前から遊牧しながらテロリストを運んでいると疑われる存在になっていたといいます。
そんなジハディストに対し、岩崎さんが現地の人に話を聞く中でようやく納得したのが、村人が彼らを歓迎する理由だそうで、「マリ北部の学校や病院など生活に必要な支援や仕事がない地域では、政府を頼るより時はジハディストを頼る方がまだマシと考える人が多い」と都市部と農村部の格差について言及されました。
本作はムスリムのシーラがキリスト教からムスリムに改宗した結婚相手のジャン・シリとようやく再会するラストで終わりますが、主宰の藤本さんはムスリム同士のカップルで終わらせたことに本作のアポリーヌ・トラオレ監督の保守的な人たちに対する目配せを感じたと指摘。「ただの復讐劇に終わらせず、次一段進むためにこの映画を撮った作品。これからブルキナファソでどんな作品を撮るのか期待したい」とコメントされました。
最後にアフリカで取材し続けている岩崎さんは、「まず自分たちのことを知ってほしいという想いが伝わってくる。イスラーム映画祭で上映される全ての作品は、遠くに住む人が置かれている困難な状況をより近くに感じる眼差しを培ってくれる」と、イスラーム映画祭の意義を語ってくださいました。岩崎さんが行われている公開講座、アフリカ概論は以下よりお申し込みいただけます。
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