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「イスラーム映画祭10」『シリンの結婚』渋谷哲也さんトークを開催しました!

「イスラーム映画祭10」5/6(金) 『シリンの結婚』上映後、「トルコ系移民とドイツ社会ー映画がもたらした危険な騒動」というテーマで、ドイツ映画研究者/日本大学文理学部教授の渋谷哲也さんによるトークを開催しました。

開館初期から当館でドイツ映画を上映する際には解説トークをしていただく機会の多い渋谷さん。ドイツで移民は社会的に大きな存在であり(人口8000万人のうち、トルコ出自の移民だけでも1000万人)、移民の生き方がテーマの作品も数多いため、イスラーム映画祭に上映作を紹介してきたと前置きしながら、49年前の作品である『シリンの結婚』は「1970年代に、トルコ系移民、しかも女性を捉えた作品として、ある種のマイルストーンのようなドイツ映画史に名前が残る名作」と紹介されました。最近修復されたばかりの美しい映像で日本初上映となった本作、劇場公開に先んじてテレビで放映された当時は、相当社会的に波乱を呼ぶ作品だったと言います。

音楽家のヨハネス・ブラームスの家系にあたる監督のヘルマ・ザンダース=ブラームス(『ドイツ・青ざめた母』『クララ・シューマン 愛の協奏曲』)は、第二次世界大戦がはじまったころナチスドイツで生まれ育ち、最初は教師を目指していたそうです。70年代、女性監督を多く輩出したニュー・ジャーマンシネマ時代に、働く女性をフェミニスト監督の視点で描いてきました。本作も「社会的な側面が強い大胆な企画だったため、テレビ局に出資してもらって作るという、ニュー・ジャーマンシネマに多い製作パターンだった」と渋谷さん。

ヘルマ監督は本作で初めて移民をテーマにしていますが、そのきっかけは、髪をブロンドに染め、娼婦らしきトルコ人女性が殺害された記事を読んだことだそうです。トルコにも二度訪問し、調査を重ねながらトルコ系女性と共同でシナリオを執筆。その女性を主演に撮影するつもりが、公開後のハレーションが予想されたため降りてしまい、急遽見つけてきたのがシリンそのもののような素晴らしい演技をみせたアイテン・エルテンでした。最初と最後に登場するシリンの許嫁、マフムードを演じたのはトルコ出自の作家、アラス・オレンさんで、炎上騒ぎが起きるとわかっていたからこそ、強力にサポートしたといいます。

中盤以降は、映画を知るための社会背景として、第二次世界大戦後にドイツで行われていた外国人労働者募集の二国間協定について解説いただきました。61年に現在EU圏以外のトルコから移民労働者を受け入れたドイツは、外国人が定着しないように協定を結んでいたものの、労働者側は高い給料を地元の家族や、それに加えてシリンの場合は道中に助けてくれた一家の分まで仕送りをするため、簡単には帰国できない事情があったことを強調。73年からの経済減速やオイルショックで大量の外国人、特に女性たちが解雇の対象になったことを映画ではリアルに描いています。さらにドイツのガストアルバイター(ゲストワーカー)は73年に家族を呼び寄せることが認められたものの、「シリンは結婚できなかったのでそういう形の移民になれなかった」と指摘。一方、定住者はドイツ国籍を取得し、文化的にもドイツ社会に馴染み、これらの移民たちが80年代以降ドイツ文化の重要な担い手になっていることを付け加えました。

そして映画でも重要な転換点となる、シリンが娼婦になった背景として、トルコでは結婚時に処女であることが大事であり、不名誉なことをした女性を父や兄が殺すような名誉殺人が起きる現実を紹介。名誉殺人の対象となるか、水面下で娼婦のような不法な生き様を選ぶかを迫られるシリンが髪をブロンドにするシーンでは「シリンの自由に対する憧れが入っている」と抑圧的な人生だけではない一面に注目されました。

このようにトルコからの移民女性のリアルな現実を見せた本作は、トルコの愛国者新聞で二国間の国交を悪くすると批判され、トルコ人たちの反対デモや、主演のエルテンさんへの殺害予告まであったといいます。そのエルテンさんの言葉、「私はドイツに生きるトルコ人女性、いやトルコ女性だけでなくあらゆる女性労働者が搾取される様を“提示”したいと思った」他を紹介し、「これからも移民女性たちの映画を機会があれば紹介したい」と意欲を見せた渋谷さん。移民、難民を反撃する人の方がニュースになり過激化している現代において、それらを受け取る側も変に煽られないようにと、トークを締めくくりました。管理する立場や同僚のギリシャ人など様々な立場の女性たちを細やかに描いている点も、どんどん掘り下げたくなるような秀作。またぜひ日本で上映する機会があることを希望します。

  • 関西(神戸・元町)の映画館(ミニシアター)。新着情報(ニュース・お知らせ)、タイムスケジュール、上映作品、イベント、連載ブログ、前売券など当館についての情報はこちらから。
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所在地
〒650-0022
神戸市中央区元町通4丁目1-12
JR・阪神電車「元町」駅西口より、南西へ徒歩6分
神戸高速鉄道「花隈」駅東口より南東へ徒歩6分
神戸市営地下鉄海岸線「みなと元町」駅2出口より北へ1分

当施設には駐車場・駐輪場がございませんので、公共の交通機関をご利用ください。

電話:078-366-2636

通常鑑賞料金

一般 1,800円
学生(学生全般) 1,000円
シニア(60歳以上) 1,300円
障害者 1,000円
神戸映画サークル会員(会員証提示) 1,300円

作品により料金が変動する場合があります。
神戸映画サークルへの入会は当該団体にお問い合わせください。

特別鑑賞料金

ファーストデー(毎月1日) 1,300円
サービスデー(毎週水曜日) 1,300円
いっしょ割(毎週月・金曜/2名さま以上) 1,300円
映画の日(毎年12月1日) 1,000円
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