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アラン・ギロディ監督特集『湖の見知らぬ男』ストキンジェル・アルノーさんによるトークを開催しました!

アラン・ギロディ監督特集『湖の見知らぬ男』上映後に、フランス出身で神戸大学大学院国際文化学研究科・学術研究員のストキンジェル・アルノーさんによるトークを開催しました。

クイア映画の研究をされているアルノーさん。

まず「ゲイ映画」と「クイア映画」の違い/ギロディ監督のフランスでの位置づけについて解説いただきました。

「ゲイ映画」と「クイア映画」の違いについて、「ゲイ映画」が男性同士の親密な関係を描くのに対し、「クイア映画」はLGBT≒多様な性的指向を描くのに加え、「反規範性」を備えた映画であるといいます。

また、ギロディ監督のバックグラウンドとして、フランス南西部の農家出身で、労働者意識が強く左派的考えの持ち主であることが指摘されました。

実際、『ミゼリコルディア』『湖の見知らぬ男』は田舎の自然が重要なファクターになっており、監督の出自の影響が色濃く感じられます。

『湖の見知らぬ男』でカンヌのクイア・パルムドールを受賞した監督。

作品の共通点としてアルノーさんは以下3点を挙げられました。

1)大衆文化、刑事ものなどからの影響

・作中に警察官や刑事、探偵が登場し物語の推進力となる

・どこか中立的なイメージが大衆文化への接続点、アクション性、親しみやすさにつながっている

2)自然と田舎の描写

・自由⇔死、自然の2面性が表現される

・反文明的欲望の場としての自然

・現代映画で無視されがちな村社会・労働社会が提示される

3)おとぎ話的な要素

①素朴な登場人物

・特に村で一生懸命働いてきた丸みや田舎っぽさのある男性=リアリズム

・そういった男性が主人公と親密な関係になるところにある種のフェティシズムが

②ナンセンス

・すっきりした結末がなく、観客に解釈の自由を与える、観客に登場人物への疑問を植え付けたまま放り出す

・人間が怒りや不満を覚えながら生きる社会を包むユーモア、政治性の中に笑いを見つけられる瞬間がある

③性愛描写

・フランスでもギロディほどセクシャリティと裸体を直接見せる監督は少ない

・物語のリアリズムを高める、ドキュメンタリー的身体性、観客にとって身近な存在に感じられる

・性と愛が必ずしも結びついて描かれない

また、「登場人物のセクシャリティは明確に定義されず、そこが単なるゲイ映画ではなくクイア映画である所以ではないか」。

フランスのクイア映画において、AIDS危機などを経たギロディの映画は「ゲイであることを特別視しない。差別や悲劇を訴えるのではなく性のあいまいさ、自然と孤独を見せる、新しいリアリズムと言えるのではないか」と話されていました。

続いて『湖の見知らぬ男』について、先述したギロディ作品の特徴どおり、「自然が持つ二面性」として「開かれた空間である湖と空、海と比べ穏やかな湖だが、ミシェルとの緊張関係が生まれたところからフランクの動揺を表すかのように湖面が波立つ」「男たちが自由にセックスを楽しむ森も、ミシェルに追われる時には木々や草が檻のようにも見える」「この作品には動物が登場せず、かわりに裸の人間たちが生態系の一部になっている」という指摘がありました。

「おとぎ話要素」については、「フランクが駐車場に車を停めて森に入っていくショットを繰り返すことで、現実世界から物語に入る主人公を表す」「湖は自由な空間に見えながら閉鎖空間で、そこはあたかもユートピア、エデンの園であり社会から隔絶した印象を与える」といったお話がありました。

また、「性愛と死」については、「湖の空間はいわゆる「ハッテン場」として機能しており、そこで行為をするさまざまな男たちをそのまま見せている。モラル的に否定される事かもしれないが、そこにあるコミュニケーションやユーモア、やさしさが描かれ、リスクや罪悪感ではなく人間同士の交流の場として見せられている」。

一方で、「性は生殖・生命力に結び付くが男性同士では生殖とは無縁。何度も湖を訪れる彼らの姿に、彼らが本当に満足しているのか?という印象も持つ」「ゲイセクシャリティ全般において、性行為は性感染症(HIV感染)のリスクもあり、性と死を切り離しがたい」といった指摘もありました。

フランクとミシェルの関係があくまでも森と湖の中での限定的なものであることも、彼らの性がある種刹刹那的で、それゆえ自由ややさしさの中に孤独や悲しみをたたえているのかもしれない、と感じます。

最後の質疑応答では、

「(ポスターに書かれている)「快楽に服従(どこまで?)」というコピーについて、彼らにとっては「死」も快楽の一つだったのか?」

「主人公たちが体毛がなくつるっとしていた。何か意図があるのか」

「アンリとフランクの会話で、アンリが必ず質問で返していたのが印象的」

「クイア映画は反規範を肯定するはずだが、この映画では反規範の世界が限定的だったり、肝心の関係が死につながったりする。本当に反規範なのだろうか?」

といった意見が出て、より作品について深く考える機会となりました。

わかりやすい資料もご用意いただき、アルノーさん本当にありがとうございました!

共通する特徴はあるものの、またどれも違った味わいをもつ今回のギロディ監督特集。

この機会にぜひ3作品ともお楽しみください。

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所在地
〒650-0022
神戸市中央区元町通4丁目1-12
JR・阪神電車「元町」駅西口より、南西へ徒歩6分
神戸高速鉄道「花隈」駅東口より南東へ徒歩6分
神戸市営地下鉄海岸線「みなと元町」駅2出口より北へ1分

当施設には駐車場・駐輪場がございませんので、公共の交通機関をご利用ください。

電話:078-366-2636

通常鑑賞料金

一般 1,800円
学生(学生全般) 1,000円
シニア(60歳以上) 1,300円
障害者 1,000円
神戸映画サークル会員(会員証提示) 1,300円

作品により料金が変動する場合があります。
神戸映画サークルへの入会は当該団体にお問い合わせください。

特別鑑賞料金

ファーストデー(毎月1日) 1,300円
サービスデー(毎週水曜日) 1,300円
いっしょ割(毎週月・金曜/2名さま以上) 1,300円
映画の日(毎年12月1日) 1,000円
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