
元町映画館15周年記念「大島弓子に逢いたくて」の初日、『金髪の草原』の上映後に「大島弓子の魅力を語ろう」と題し、甲南女子大学文学部メディア表現学科教授の増田のぞみさんによるトークイベントを開催しました。
まずはデビュー作から、各年代での代表作、そして今年6月に連載が終了した「キャットニップ」まで、大島さんの猫と共に生きながら作品を生み出しつづけるマンガ家人生を紐解き、黄金期の作家(里中満智子、竹宮惠子、萩尾望都)たちについて解説。
「少女マンガ史における大島弓子」では、橋本治の「花咲く乙女たちのキンピラゴボウ後編」の最終章、大島弓子論(ハッピーエンドの女王)で、『綿の国星』のラストの言葉を引用しながら前後編の少女マンガ評論集を締めくくっただけでなく、表紙も大島さんの絵が使われていることから「橋本さんにとって特別な位置付けの存在であることがよくわかる」と指摘。79年に刊行されたマンガ評論家、村上知彦による「黄昏通信 同時代まんがのために」の大島弓子論では、水木しげる、手塚治虫など戦争体験が漫画を描く動機になった世代に続く、「現実は妄想でしかない」戦後生まれの視点から、現実と妄想が地続きの大島作品について論じた内容を解説いただきました。
さらに33本のインタビューやエッセイが収録されている貴重な大島弓子ファン本「大島弓子の話をしよう」(2012年に自主出版、現在は入手不可)をはじめ、商業出版のファンブックも詳しくご紹介いただきました。映像化作品については大学に入ったら大島弓子(作品)を映画にすると決めていたという犬童一心監督作『金髪の草原』の話題に。増田さんは「少女マンガと違って映画はターゲットが広いので、大島作品のエッセンスを残しつつ、映画としてどう面白くしていくか腐心された作品。(少女)マンガと映画との関係を考える上でも注目したい」と語られました。
マンガ研究者の藤本由香里さんによる「内的なイメージをさらに掘り下げていくと、ものすごく大きな場所にたどり着き、ある瞬間にものすごく普遍的なもの、無限の宇宙の広がりに繋がれる」という指摘を引用しながら、大島作品の魅力について「いま生きている日常の世界を、新たな世界へと変えるような体験をもたらす作家」だと締めくくった増田さんに引き続き、後半はご参加のお客さまから、それぞれの大島弓子体験をお話いただきました。「(映画鑑賞後)自分の世界に戻ってきたときに、見方が変わる」、「簡単に他者と共有できない心の原風景が、心の内に内にと向かっていくうちに、外と繋がる」、「2000年代の問題解決型少女マンガとは違う優しさがある」「(大島作品を愛読していた)悩み多き時代のことを思い出した」など、関東から駆けつけてくださった方から、この日初めて大島弓子原作の映像作品をご覧になった方まで、それぞれの思い出や鑑賞体験を共有し、大島弓子作品の魅力をたっぷりと語り明かす時間となりました。
元町映画館15周年記念「大島弓子に逢いたくて」は8月22日(金)まで連日14:50/17:10より上映。
また8月24日(日)まで、元町の書店1003で「観読往来」大島弓子関連書籍コーナーを展開中です。ぜひお立ち寄りください。














