
『春をかさねて』『あなたの瞳に話せたら』公開初日、上映後に佐藤そのみ監督の舞台挨拶を開催しました。
1996年石巻市大川地区で生まれた佐藤監督は、地元の美しい風景の中、12歳で映画を撮りたいと気持ちを持っていたが、東日本大震災で津波の大きな被害を受け、「映画どころではなかった」と当時を振り替りました。大学時代(日本大学芸術学部映画学科)に故郷を撮るなら震災と向き合うことが必要と、大学を休学して卒業制作に向けてのキャスティングを現地で行ったそうです。
『春をかさねて』はフィクションで震災後カメラを向けられた10代の女の子たちを描いていますが、佐藤監督ご自身が同様の経験をし「多くの人が見たい10代の被災した女の子」とメディアで描かれることが多かったことから、自身の映画づくりで同じことを強いることはしたくなかったと、その狙いを話されました。一方、そのメディアについても「前例の中で葛藤されていた」とマスコミが大川で取材することの意義や、マスコミ役を当時取材をし、今でも親交のあるマスコミ関係者に演じてもらったことや、石巻演劇祭、高校の演劇部など地元の学生たちから主演のふたりをキャスティングしたことも明かされました。
ドキュメンタリーの『あなたの瞳に話せたら』は、佐藤監督が真正面に向いて語るカットが印象的ですが、「わたしの手紙でふたり(同じく被災した友人たち)の手紙をつつむ」構成にしたのは、ふたりだけに誹謗中傷がいかないようにという配慮からというお話もあり、震災を語ること、カメラの加害性など、様々なところを考え抜き、丁寧に紡がれた作品であることを改めて実感できたのではないでしょうか。また「被災者ではあるが、ひとりの人間。個人の人生を描きたかった」という佐藤監督の言葉にも、震災を扱った作品を観る側として思い至るところがありました。
『春をかさねて』『あなたの瞳に話せたら』は3月14日まで上映中です。














