
『夜のまにまに』1/18(土)の上映後に、磯部鉄平監督の舞台挨拶を開催しました。
本作は、大阪を舞台に、真面目で物憂げな青年と型破りで行動的な女性のボーイミーツガールを描いた物語。制作の経緯について、磯部監督は「前作のプロデューサーから、『大阪を舞台にした作品で一本どうでしょう』と話が来ました。もともと”20代の男女が浮気調査の張り込みをする”というプロットの原型があり、そこからどんどん進んでいった感じです」と紹介されました。
独自の演出方法について、「道をわざと間違えるとかして普通に進むだけではない、意図的に何かを変えてみたいという思いがある。うまくいきすぎることに対して、もっと混乱があってもいいのではという気持ちがあります」と語られた磯部監督。過去作を含めた”移動”というモチーフの通底は、地理的な大きな移動だけでなく、画面内での小さな動きも意図的に演出されているそうです。
脚本についての「映画に登場するような現実的ではない出来事(張り込み浮気調査や繰り返し同じ警官に職質されるシーンなど)が適度に挿入されることで映画然とする。磯部監督の作品には常にそうした面白さがある」という指摘に対し、磯部監督は「この話は20代の頃の経験をベースにしたもの。今でも覚えてる過去の変な話ってあるじゃないですか、あの日なんやったんやろう、みたいな。僕が20代のときにバイト先の女の子に頼まれて何日間か張り込んでたことがあるんですけど、あれはもうこの映画のまま。それと、ナナゲイ(第七藝術劇場)に一人で行ったらおばあちゃんに声をかけられて、その後に来た女の子と3人で一緒に並んで映画見たことも実話です」と返答されました。なんと、ほとんど実体験ベースの脚本(!?)という衝撃の事実が発覚。監督ご自身のユニークな思い出が、観客を自然と笑顔にさせるような魅力的な脚本に反映されていることが窺えました。
本作のテーマである”夜に物語が進展する”というのは、磯部監督の過去作『オーバーナイトウォーク』にも通底するポイント。磯部監督は「普段から夜に一人で散歩をしているんですが、夜の街って好きです。昼間に人がたくさんいる場所が夜になると誰もいない感じは、田舎の夜とは違う不思議な雰囲気。あと、夜に誰かと歩くと昼間には話せないことを話すことがありますよね、そういう時間は特別です」と語られ、夜に一人で歩くことで感じる静寂、そして誰かと歩くことで交わされる夜ならではの会話が、映画における時間の流れや感情を深めているのだと明かされました。
日常では見過ごしがちな様々な感情が夜の静けさの中で鮮やかに浮かび上がり、深い余韻を残す本作。夜の散歩をしているような気分で、心に残るひとときを味わってみてください。















