
『ハッピーアワー』12/30(月)の上映後に、濱口竜介監督、田中幸恵さん、菊池葉月さん、三原麻衣子さん、川村りらさん、柴田修兵さん、坂庄基さん、久貝亜美さん、田辺泰信さん、渋谷采郁さん、福永祥子さん、椎橋怜奈さん、川村知さん、野原位さん(脚本/プロデューサー)、北川喜雄さん(撮影)の舞台挨拶を開催しました。
市民参加のワークショップ「即興演技ワークショップ in Kobe」から誕生した本作。主人公に据えられた30代後半の女性4人それぞれの家庭生活や職場での出来事、人間関係の機微などの細やかな描写は、ごく一般的な女性たちが直面する葛藤や不安を物語に表出します。2015年の公開以降、恒例となった元町映画館での年末上映は今年で10回目を数えますが、主演4人が揃って舞台挨拶に登壇するのは今回が初めて。10回目という節目に相応しい特別な舞台挨拶となりました。
「制作時や上映後の印象深い経験」というテーマで始まったトークは、撮影前に実施されたワークショップやロカルノ国際映画祭を振り返った懐旧談が展開されました。濱口監督は「覚えていること……ひとつにまとめるのはとても難しいですね。主演4人で有馬温泉に行くシーンがあって、道中に4人が席に並んで撮った写真があるんですが、それがとてもいい写真で。本当にその4人が有馬旅行に行ったかのようだった。そのとき撮影も中盤を過ぎたくらいだったと思うんですけど、でもみんないい顔をしているなと感じた記憶があります。そのことがとても幸せだったなと思いました」と、作中のとある象徴的なシーンを彷彿とさせる貴重なエピソードを語られました。
質疑応答では、「映画の世界と現実世界が混じり合うような演者同士の実存の触れ合いはどのように演出するのか」という質問に対し、「実存と実存は触れ合っているものじゃないですか。皆さんも普通の生活の中でそういうことはあると思います。それを演出の中である程度加速させるというか、そういうことが起きやすい状況をつくるのは、おそらくあるんじゃないかな。けれどワークショップでは、“そうしようと思ったわけではないけれどもできていく関係性”や、“聞き合うことでできていく関係性”みたいなものがあった。結果それが断片的に映画に写っているのだと思います」と回答された濱口監督。過度に演出を介入させない創作観念と、演者の内的な意図や感情に基づいた表現の自立性について言及されました。
撮影当時を振り返るトークでは「幸せだった」という言葉が何度も飛び交いました。とりわけ、三原さんの「幸せな時間でした。とても良い時間を過ごさせてもらったと思っています」という言葉が深く心に残ります。制作に携わった皆さんが共に過ごされたかけがえのない時間こそが、『ハッピーアワー』というタイトリングの原点であるのだと実感しました。
舞台挨拶の結びとして野原さんは「毎年こうして皆さんに会えることに幸せを感じています」、濱口監督も「本当に幸せな時間です。来年もまた神戸でこの映画を迎えられたらと思っています」と締め括られました。元町映画館での年末上映と舞台挨拶は、製作関係者が幸せな記憶を語らう年に一度の機会でありながら、作中舞台である神戸の原風景を在地のお客様と感覚する場で在り続けています。今日、『ハッピーアワー』のために元町映画館を訪れたすべての人が幸福を共有したこのひとときもまた“ハッピーアワー”なのでしょう。




























