
映画監督の池谷薫さんが、自作を題材にドキュメンタリー映画の“裏側”を徹底解説する「池谷薫ドキュメンタリー塾」。第2回で取り上げた作品は、池谷監督最大のヒット作であり代表作『蟻の兵隊』。本作の“主人公”である奥村和一さんとの出会いは2004年でした。日中戦争については、日本の【加害】に触れざるを得ないことから長らく映像メディアではタブーとされてきました。中国に残留した日本人を題材に映画を作りたいと先輩に相談したところ、奥村さんからの手紙を渡され「この人を撮るべき」だと言われたそうです。それは軍命により終戦後も残留させられたにも関わらず、勝手に残ったと国から見捨てられた奥村さんらが国を相手に起こした訴訟を取材してくれと訴える手紙でした。その場で電話し、会った奥村さんに「“主役”の顔だ」という印象を抱いたと池谷監督。その翌日に段ボール3箱分の自分で集めた資料が送られてきて、真相究明の映画ではなく、この奥村さんの執念を映画にしようと思ったと話します。
戦争の理不尽さ、それが奪うもの、国家のつく大きな嘘や今でも決着のついていないまやかしの平和の姿などを映画はあぶり出し、観る者に訴えかけます。奥村さんの中に見た狂気が自身を狂わせ、「一緒に戦争を戦っている気持ちだった」と池谷監督。ドキュメンタリー映画に大事だと言われる公平・中立・客観視なんかクソ食らえという気持ちで自分の主観で撮り切る覚悟で作ったと話します。
映画は先が見えると面白くないので大胆な「省略」で見せる方法、繋がらないショット同士を音楽で繋ぐ工夫、ショットとショットを「衝突」させて表現するダイナミズム、また随所に活かされた「メタファー(隠喩)」の意味するものなどについて作中の映像クリップを見せながら解説され、映画がどうやって組み立てられているかについても学びました。














