『優しさのすべて』初日4/15(土)の上映後、安達勇貴監督、脚本の四本研祥さん、主演の二田絢乃さんにお越しいただき、またゲストとして本作公式サイトにコメントも寄せられている映画監督・脚本家の野原位さんをお迎えしてトークを開催しました。東京の片隅で暮らす男女を描いた作品ながら、「一種のSF映画だと感じた」と野原さん。〈外〉からやって来て〈外〉に帰っていくアキという存在、マアサとカイが暮らす閉塞感がありながら閉じ込められきらない“ヌケ”のある部屋、そこから脱け出すために闘う過去の映画とは異なり「闘っても仕方ない」という現代的な諦念、膨張した世界—。野原さんの読み解きに、観たばかりの映画の新たな魅力の扉がどんどん開かれていくような快感を覚えます。着想から完成稿まで安達監督とアイデアを出し合って進めたと四本さん。ご自身も監督をされますが、本作ではイメージを持たずに脚本を書いたので、監督の演出に違和感を持つこともなかったそうです。同じく監督/脚本家の顔を持つ野原さんは「すごいですね…!」と感心されていました。「今の抗いがたい“重力”を描きたかった」と安達監督。映画の物語とコロナ禍でのリアルな街の風景をスクリーンに同時に存在させることで作品の強度を高めたかったと話されました。野原さんいわく「脚本家としては書くのを一瞬ためらう“強い”セリフが多い」マアサという役。観る人によっては「この人なんでこんなことするの?」と感じるであろうマアサを演じた二田さんは、「実は初めて読んだ時点で彼女のことが理解できてしまった」と話します。複雑な役ですが、演じるべき人に白羽の矢が立った幸福なケースなのでしょう。安達監督と四本さんはふたたびタッグを組んでの新作も準備中だそう。楽しみです!
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