
10月25日、アイスランドで女性が一斉に仕事や家事を休んだ伝説の一日を描いた『女性の休日』公開を記念し、観客の普段感じている「モヤモヤを言葉にしてみる会」を開催しました。
10月25日に全国で封切られた本作。上映に合わせて各地で「話す会」が企画されており、元町映画館で先陣を切る形となりました。
ファシリテーターは関西学院大学社会学部教授で、ウィメンズアクションネットワークの副理事長でもある中谷文美さんが務められ、20代から70代まで、男性を含む16名の観客が参加しました。
皆さん映画をご覧になって、今はジェンダーギャップ指数1位のアイスランドでも1975年当時は今の日本と同じような状況だったこと、翻って常に100位台をキープ?している女性の人権が蔑ろにされた日本の状況を嘆く声が多く聞かれました。
特に夫婦別姓については、多くの場合女性が手続き等で不利益を被り、何より自身のアイデンティティが失われた感覚に陥る、という声が複数聞かれました。
また、若い参加者の方でも、地方のご出身で地元では未だに親族などの集まりでは女性が料理や配膳などの役割を担っている、というコメントがありました。
60代以上で社会に出て働き続けてこられた方々からは、「新人の頃は男性と全く同じ仕事をしていても給与が安かった」「女性は早く出社してお茶くみ、接待ではお酌やセクハラは当たり前だった」というお話が複数出ました。
映画に関しては、社会運動の進め方として、右派の女性たちも参加しやすいように「ストライキ」でなく「休日」としたところはおもしろかった、という声が多数聞かれました。
過去に職場のお茶くみを廃止しようと尽力された経験を語って下さった方からは、「中には本当に心を込めて皆さんにお茶を淹れていた方もいて、自分の頑張りが否定されたようでつらい、という意見があり、同じ女性でもいろんな考えがあると勉強になった」というお話もあり、多様な意見を包含しながら運動を進める難しさを感じる機会となりました。
参加者の中からも、「家事やケア労働など女性が担ってきた役割の価値を高めることも大事」という意見もありました。
その他、
「(今回17時からの上映をうけて)友だちを誘っても断られた。女性は夕方家を空けづらい」
「ジェンダーの話をすると「意識高い」「思想強い」と言われがち」
「ジェンダーギャップ指数が下位でも、多くの女性はそこまで生きづらいと感じていない。女性というよりは社会の問題」
「男性が優位に立ちたいと思うのはなぜか。個々の男性自身ではなく社会的な背景があるのでは」
「性とお金の面で抑圧されることが一番つらい。幼いころからのジェンダー教育が重要」
「若い母親が子供を殺すと母親だけが非難されるのはおかしい」
「日本人はおとなしいのでアイスランドのような大きな社会運動になるだろうか」
といった多様な意見が出ました。
また、男性参加者からは「自分でも気づかないうちに「女に負けたら恥ずかしい」という意識が植え付けられていた」といったコメントもありました。
中谷さんは、当日冒頭で流れた監督からのメッセージに触れ、「日本とアメリカは大きな国だけど、アイスランドは人口38万人で一人一人が社会を変えられるという自覚がある。それでもやっぱり大事なのは連帯」と語られ、1970年代の日本で開かれたリブ合宿を扱った松井久子監督のドキュメンタリー『何を怖れる』に触れながら「1975年当時は日本もアイスランドも状況は変わらなかった。そこからここまで差が開いたのは、日本で連帯ではなく分断が進んでしまったからでは。1985年に男女雇用機会均等法と同時に労働者派遣法が制定され、1995年には日経連の『新時代の「日本的経営」』で非正規雇用が促された。いま女性の休日を呼び掛けても、女性は非正規雇用が多く、正社員のようには休みづらかったりする。今後さらに分断が広がるのか、連帯できる道はあるのか、注視していきたい」と話されました。
また、男性が家事労働に従事したくても今のような長時間労働では無理、という意見に対してご自身の研究の一つでもあるオランダの事例に触れ、「オランダも以前は同じ状況だったが、男性も女性も賃金労働と家事やケア労働を分け合う方向に舵を切り、労働時間を短縮してある程度うまくいっている」と解説いただきました。
本作はこれから各地で上映され、来年の国際女性デー前の3月6日に何らかのアクションも計画されているそうです。
※詳しくは「女性の休日プロジェクト」参照
https://wdayoff-project.studio.site/
当館でも国際女性デーにあわせて昨年に続きWoman‘s Film Weekの実施を予定しています。また皆様と女性(もちろん男性も)の生きやすい社会の実現に向けて、映画の上映、対話の機会が設けられればと考えています。
改めまして、中谷さん、話す会にご参加いただいた皆様、ありがとうございました!















