
『港に灯がともる』1/17(金)の上映前に、安成洋さん(プロデューサー)、山之内すずさんの舞台挨拶を開催しました。
阪神淡路大震災からちょうど30年の節目を迎えた本日、当館ではこの日を忘れず未来に伝えていくために震災をテーマにした本作を上映しました。
本作は、阪神淡路大震災の翌月に神戸で生まれた在日コリアン3世の女性・灯が、自身のルーツや両親から伝え聞く震災の記憶に苦悩し葛藤するなかで、コロナ禍を通して心の回復を目指しながら、やがて希望を見出していく姿を描いた物語。安さんは制作の経緯について「震災から30年経って街は復興しても、心の中の奥深くのところに深い苦しみや悲しみを抱えている人はたくさんいらっしゃいます。そういった言葉にならないようなものをどうやって表現しようかと考えたところ、やっぱり映像の力ではないかと思いました」と明かされ、「震災を描くということ、心のケアを大事にした映画であること、神戸を舞台にすること。この三つを根底にと、安達監督に相談しました」と、被災地である神戸の地で復興の歴史や再生の物語を紡ぐ意義を語られました。
神戸市のご出身である山之内さんは「17歳まで暮らしていたゆかりのある場所で、大事に語り継いでいかなければならない阪神淡路大震災に関する映画に出させていただけるのは本当に光栄なことです。地元出身だからこそ伝えられるメッセージがあるんじゃないか、私にできることはなんだろうと思いながら撮影に臨んでいました」と、撮影時の思いを明かされました。震災30年を前に、多くの被災者の方に取材されたという山之内さん。「取材をする中で印象に残っているのが、被災者の方が当時を思い出されているときの様子です。震災の話になると、その日を昨日のことのように思い出してしまう。心の傷ってこういうことなんだな、と。この傷が癒えるのは本当に時間がかかることなんだと思いました」と、被災された方の心の復興の難しさについて言及されました。
また、山之内さんは主演の富田望生さんについて「望生ちゃんとは初対面なのに、まるで本当に昔からの親友のように自然に接していました」と語り、「目の前に灯がいるようでした。私が泣くシーンじゃないのに、その場にいる灯の存在感に圧倒されて涙が出てしまう。望生ちゃんは演じているというより、役そのものになりきる圧倒的な力を持った役者さんです」と、その魅力を賞賛されました。
これから映画をみるお客さまへのメッセージとして、安さんは「私自身、見るたびに印象が変わる映画なので、何度でも見ていただけたらと思います」、山之内さんは「震災を経験したから分かる、経験していないから分からないの話ではなくて、皆さんそれぞれの心の中にある心のモヤっとする部分だったり傷ついたことだったりに刺さる映画になっています。この映画を見て何か少しでも湧き上がるような気持ちがあれば、その気持ちを大事に持ち帰って、たまに振り返る時間を作っていただきたいです」と述べられました。
本作は、震災を過去の出来事として振り返ることにとどまらず、現在を生きる私たちがどのように向き合って心のケアをしていくべきかという問いを静かに投げかけています。私たちひとりひとりが抱える傷や痛みにどう寄り添って、未来へと繋げていくのかを考えるきっかけとなる作品です。
















