1/14(土)、15(日)『眩暈 VERTIGO』井上春生監督の舞台挨拶を行いました。
「眩暈」は吉増剛造(1939-)による友ジョナス・メカス(1922-2019)への追悼詩の題名でもあります。
その詩は、メカスの一周忌2020年1月23日コロナ禍直前のニューヨークに吉増さんが訪れメカスの息子セバスチャンと出会ったあと生まれます。
訪れたNYで、吉増さんは地下鉄や船に乗ったり歩いたりして街をさまよい、手に持った本「メカスの難民日記」の言葉に導かれながら思索・詩作するのですが、その吉増さんの映像とメカスの過去の映像が重なります。
さらに様々な思索のなかで吉増さんが呼び出した偉大なる詩人たち(良寛、イェイツ、ツェラン)の詩・顔がスクリーンを横切るのも映画の魅力です。
14(土)は吉増さん同様にメカスに関心をもち故郷リトアニアの風景を撮った写真家の津田直さんも井上監督と共に登壇されました。
津田さんが話されたことの多くは『眩暈』パンフレットに寄せられた美しいエッセイに詳しく書かれています。
舞台挨拶でも話されたのはリトアニアは雨の国(最初のLietが雨の意)といわれていて、今日1/14もたまたま雨ではありますが、メカスにとっての水のイメージの重要さで、吉増さんが隅田川を眺めながらメカスにとっての水の重要さを語るシーンもあります。
15(日)は井上監督が神戸の店で朝買われた古いグラスの話から始めて、神戸という土地に言寄せて興味深い話を聞くことができました。
杉原千畝は戦前リトアニアでユダヤ人を中心とした避難民にビザを発給しましたが、それらの難民は神戸に着くことも多く市内にはユダヤ寺院が建ちコミュニティが今も存在します。
メカスが故郷リトアニアから神戸へというあり得たかもしれない歴史に思いを馳せました。
『眩暈 VERTIGO』は1/20(金)まで連日12:30から上映しております。