映画『約束の宇宙（そら）』公開を記念して、Zoomを使用してのオンライントーク【「両立」の理想化では収まらないもの—シングルマザーの葛藤とその背景】を開催しました。スピーカーとしてゲストにお越しいただいたのは立命館大学生存学研究所客員研究員の村上潔さんです。まず「両立支援、女性活躍といった流れの“裏側”“外側”にあるものに注目してほしい」と村上さん。「女性活躍」という言葉には一概にすべての女性が含まれているとは言い難く、「“活躍が期待される”女性」でありその対象となってサポートされる範囲は限られていると指摘されます。そして「両立」が「理想」だとすれば、それは誰にとっての理想であるのかを考えてみると、決して女性本人ではなく、国や企業、自治体にとっての利であるという事実が浮かび上がってきます。〈働く〉×〈母親〉の図式は変化しています。近代資本主義下では【男並みに働く】ことと【専業主婦】の選択を余儀なくされていました。ところが新自由主義下では働くことも子育てもどちらも高いレベルを求められることとなり、結果、より女性のしんどさが増してしまったのです。そんな時代を生きている女性たちに向け、革新的な「マザリング（Mothering＝母としての働き）」についてや、イレギュラーでマージナルな相互扶助、偶然を媒介とした親密な関係性の構築、母親だけが持ち得る女性身体の連続性などについても話されました。