イベントレポート


2018.06.30
『スパイナル・タップ』スペシャルトーク開催!

60年代から活躍する伝説のブリティッシュ・ロックバンド「スパイナル・タップ」。彼らが82年に行った伝説の全米ツアーに密着した“モキュメンタリー”。これ(彼ら)をこよなく愛する、安田謙一さん(ロック漫筆家)とキングジョーさん(DJ・画家)によるトークイベント「スパイナル・タップは存在する」を6/23(土)に開催しました。

当館ではおなじみのこのお二人、コンビネーションも抜群でした。

トーク冒頭、「スパイナル・タップ」がどんなバンドかということの解説に始まりましたが…話は逸れていき、「バンドってなんだろうね」という話に。

『バンドはなかなか大人になってくれない。でもスパイナル・タップは生きてしまった、その時代を』とおっしゃり、作品を観ればわかる「バンドあるある」をおっしゃいました。作品では方向性の違いからメンバー同士、プロデューサーとの軋轢、女性問題など、素人眼でも「あるある」と頷けるようなシーンが多々あります。本作は実に人間臭い作品。

トークの中盤以降は動画を使って説明しようと試みたのですが、うまくいかない。そしてジョーさんが「準備した映像が出てこない…これもスパイナル・タップ感ですね」と一言。 映像はずっとメニュー画面のまま、ヤスケンさんは「バンドの宣伝男がサイン会を企画、準備してお客さんが入らなかった。最高でしたね」とおっしゃいました。

最後には無事、動画再生も可能になり、“Derek Smalls”の新譜「Smalls Change」PVをみんなで拝聴。これがまた沁みる。疲れた身体にふざけたPVは心の癒しです。

最後にお二人は「ズラを被れば誰でもスパイナルタップになれる 」「(今日の様子を見て)、世の中、段取りが大切、だけど段取りしすぎると失敗する時もあるぞ。これこそスパイナル・タップ」という締めもキマッてました。

傑作の『スパイナル・タップ』ぜひご覧になって、「バンドあるある」を見つけて欲しい!

次回お二人によるトークイベントはイギー・ポップの傑作アルバム「ポスト・ポップ・ディプレッション」のライブを追ったドキュメンタリー『アメリカン・ヴァルハラ』(8/4公開)で調整中。 お楽しみに。

(芋羊甘)


2018.06.27
6/23(土)『カーキ色の記憶』上映会&シリア人作家・イブラヒーム・サミュエルさんと岡崎弘樹さんによるスカイプトーク開催しました!

当館2階のイベントルームにて計4回上映を行なった『カーキ色の記憶』。
3回目の上映後トークは、本作に出演もしているシリア人作家・イブラヒーム・サミュエルさんとスカイプの中継により開催されました。
通訳・司会進行を務めたのは、第1回目の時と同じく、本作の上映委員会で字幕も担当された岡崎弘樹さんです。

まず岡崎さんからシリアとはどんな国なのか、この作品の持つ意味などについて、パワーポイントを使用しながら説明いただきました。70年代以降、多くの監督たちが内戦の様子を描こうとしているそうです。今作品には、答えがすぐに出るわけではないけれども、そこで経験したものを語ることで問いを立て、その上でその痛みを共有したいというタンジュール監督の思いが込められていると岡崎さんはおっしゃいます。
また実際に起こっている現実と情報が大きく異なっている点についても言及が。参加者からは、ちらほらとどよめきの声が聞こえてきました。

そしてサミュエルさんとのスカイプ中継が始まりました。
スカイプなどの通信が発達したことで、こうやって遠く離れた日本に住む方々ともお話ができると嬉しそうな表情のサミュエルさん。
何といっても作品の質問・感想について聞いてみたいとウズウズされていました。

多くの手が挙がる質問・感想タイムの中でも「今まで知り得ていたシリアの情報とメディアから聞いていた情報があまりにも違っていたので驚きました。現地にとどまっている人の現状はどういったものなのでしょうか」という質問に対する「現状、シリアでは生活という生活は成り立っていません。シリアはまだ占領されている状況です」というお答えにショックを受けずには入られませんでした。

時間の許す限り、一つひとつの質問や感想に丁寧に返答されるサミュエルさんの姿が印象的でした。

最後にサミュエルさんは「やはり、私ももう一度言っておかなければおかないといけないことがあります。2011年に革命を起こしたことに後悔はありません。最後に感想をいただいたお客さまの言葉のように、早くシリアにも春の戻りを、本当の意味での春の戻りを待っています」とおっしゃいました。

本トークイベントは、お客さま全員からサミュエルさんに向けての「シュクラン!」(アラビア語でありがとうの意味)という言葉で締めくくられました。

美しい映像の中に、シリアから出ざるをえなかった方たちの心に残る苦い記憶、心情を収めた『カーキ色の記憶』。

7/ 7からは『ラッカは静かに虐殺されている』『ラジオ・コバニ』のシリア映画2作が、7/14からはパレスチナ映画『ガザの美容室』が当館での上映を控えております。
映像に収められていることはほんの氷山の一角にすぎなかったとしても、知っていると知らないでは大きな違いがあるのではないでしょうか。
こういった作品を通じて、遠く離れた場所での同時代の出来事に少しでも目を向けていただく機会になればと思います。

(まりこ)


2018.06.27
6/23(土)『港町』トーク:想田監督×内田樹さん×柏木プロデューサー

想田和弘監督の観察映画第7弾『港町』
元町映画館での初日に思想家であり武闘家である内田樹さんをお迎えしました。
壇上にはプロデューサーである想田監督の奥様、柏木規与子さんにも登壇いただきました。

当館が想田監督の映画を上映するのは今回が初めてです。
想田作品をずっとご覧になってきた内田樹さんがトークの司会をされました。
濃密な1時間余りのトークを抜粋でご紹介します。

内:私はこの作品をDVDで観て、そして今日スクリーンで観たわけですがこの映画のバックステージは?
想:前作『牡蠣工場』のインサートショットを撮るという目的でした。

内:『秋刀魚の味』の東野さんを思わせるような漁師さんが出てきますね。素晴らしい被写体です。全体として小津的。
想:始めはカラーでした。色調調整にすごくこだわった。重要なシーが夕暮れに起こるから港町暮色というタイトルにしようかと。
※『東京暮色』は小津安二郎の映画

柏:モノクロにしたらと言ったのは私なんですが実は良く覚えていない。色々迷っていて何かピシャッとしたのはないかって。
想田は一人で煮詰まって、エゴがすごいじゃない。
想:編集していてモノクロにはボタン一つでできます。これはいいと。カラーにすると毒々しくて観れなくなった。

トーク途中出演者の高祖さんが紹介された。後期高齢者でも現役の魚屋さん。
トラックで町の人々に配達するところは本作の見どころの一つ。

内:映画に出てくるのは高齢の方ばかり。みんなアクティヴ。
想:高祖さんはコミュニティの中心ですね。働くことはお金のためでなく人生になっている。
内:彼女はネットワークのハブ、誰が今日はコーラスに行っていないとかクライアントの生活習慣まで知っている。

内:高祖さんが荷物持つよと何回も言っていて日常言語では同じことを何度も言ってるんだって気づく。
想:ホントはこーなんです。ドラマ・台本では反復のないミニマムな形が出るけども。私の観察映画の発端は子供の頃の体験、言ったことをそのまま書き写して皆の前で読み上げたら可笑しくてウケるんですね。

内:思考・言動・行動というもので行動ってのが一番合理的ですよね。
想:考えてからじゃなくて...
内:何も喋らない動きは合理的、船の上の漁師が網や綱を操る動作は惚れ惚れするほど美しい。
柏:船に私も乗せてもらって撮るんですけど想田は無駄が多い。落ちるんじゃないかと。でも漁師さんは無駄がない。
内:あの技術もあれで絶えるんだ。漁労は農業より習得するのに長い時間がかかる。
想:商業的な漁業だけになってしまう。

内:印象的な出演者は久美子さんです。よく喋りますね。
想:柏木は前から仲良くなってよく喋ってた。僕は迫ってくる人からは逃げる。
目の前のものは素直に撮るというのが観察映画の方法論ですが。

これから延々とトークは続くのですが残念ながら紙数が尽きました。

最後に想田さんが使った映画と鑑賞者の比喩を引いて終わりにします。
皆さま、想田監督が投げる『港町』というボールを受け止めるのではなく打ち返しましょう!

(高橋)


2018.06.22
ENGLISH CAFE at 元町映画館 レッスン1開催しました。

「映画で英語を学ぶ」そんなことができたらと思ったことはありませんか。その夢を元町映画館は叶えました。おやこ英語などを定期的に開催している団体「Kobe Family Labo」の協力で 「ENGLISH CAFE at 元町映画館 レッスン1」を開催しました。

6/14(木)に開催したこのイベント。お題映画『ラッキー』の上映期間中ということもあり、作品をご覧になったかたや、英語を学びたくて参加されたかたなど様々な方が参加されました。講師の田中亜紀さんはこのイベント以外にもカフェなどで英語を指導する英語のプロ。当日配布された『ラッキー』に出てきた英語の台詞を抜き出したオリジナル資料も非常にわかりやすかったです。

「私の教える内容は文法とかは一旦無視。外国人に伝わる表現、話し方を共有します」というお話通り、堅苦しい文法はでてきません。作中にもあった独特な言い回しを紹介するなど、映画の内容にもきっちり触れて頂きました。指導する合い間には作品の感想を述べるなど、観ていない人でも「つい観たくなる」ような時間でした。『「I’m fine,thank you.」は卒業しましょう』という言葉が非常に印象的でした。そう言って作中の挨拶を紹介する時はみなさん一緒に発音の練習をするなど終始楽しい時間が流れました。そして田中さんは「みんな英語を難しく話そうと考えすぎですよ」とおっしゃっていました。たしかに文法というものを先に勉強する日本の英語、英語で話す回数を増やして慣れるとうことが大切ではないでしょうか。

講演後には実際に参加した人の約半分が本作をご覧になりました。作中に出てきた英語の表現を聞いたあとの作品はどう観えたのでしょうか。

次回は『スリー・ビルボード』がお題映画となっています。スラングも多く出てくる作品ですが、名作。日常でも使えるフレーズもご紹介予定です。ぜひ英語に触れるキッカケとして、何かを始める機会として英語も映画も楽しんでください。

(芋羊甘)


2018.06.22
6/16(土)『カーキ色の記憶』上映会&スカイプトーク開催!

シリア内戦を描いた優れたドキュメンタリー映画『カーキ色の記憶』
今週末6/23,24に上映2回を残していますが先週土曜日にトークイベントがありました。

内戦のシリアを離れ国外在住のアルフォーズ・タンジュール監督とのスカイプ中継です。
アラビア語の通訳は本作の上映委員会で字幕も担当した岡崎弘樹さんでした。

スカイプ前には岡崎さんによるシリアの国土、取り巻く情勢の簡単な解説がありました。
その解説で衝撃だったのは誰がシリア市民を殺しているのか?への回答です。
それは大国と結びついたアサド政権である、つまりシリア人がシリア人を殺している。

そして無事スカイプが繋がりご挨拶と現在の非常に厳しい状況を話されました。
シリアを逃れ難民になり、難民としての個の痛みを映像でどう表現するかに直面したと言われました。

その後お客様の質問タイムになりました。
こういう時になかなか質問は出てこないのですが今回は違いました。
半数のお客様から次々と、しかも良い質問(タンジュール監督)ばかりの充実した時間でした。
その中からいくつか紹介します。

質問1:問題解決への希望や道すじ、明るい見通しはありますか?
監督:私は政治家でもジャーナリストでもなく一人の芸術家にすぎない。今は希望が持てなく、解決策は想像もできない。
問題は既にシリア人の手中にはなく他の者の手にゆだねられている。
もし希望があるとしたら一人一人のシリア人が国外から帰って話し合うことができたらという個人的な希望です。

質問2:映画の題名にもなったカーキ色にはどのような意味があるのですか?
監督:シリア人同士で戦うために銃の扱い方を教えられる軍や学校での制服の色なので嫌悪すべき色です。
この色に対する感情はシリア人同士で共有しています。

質問3:アサド政権の手先となった兵士と市民あるいは難民はお互いを同胞と見れる土壌はありますか?
監督:デモに対して発砲を命じられた兵士が命令に反して離反したこともある。シリア人同士が公正な場で裁かれない限り一つにはなれない。

質問4:50年後、100年後のシリア人へ真実を伝えるために何が必要ですか?
監督:歴史の悲劇はシリア人の特権ではない。こちらから日本人に質問したい。第二次大戦の悲劇をどうくぐり抜けたのか?
私はシリアにいる母と電話で毎日話している。そういうことが50年後、100年後にも伝わるのでは。

質問5:武力弾圧と宗教弾圧がどう結びつくかイメージできないのですがどのようなことが起こっているのですか?
監督:その質問で次の作品のアイデアが浮かびました。体制がいかに宗教を使って弾圧するのかについての映画。
これはアサド政権に始まったことではなくずっと前から。
武力弾圧には限界があるので体制順応型のモスク・聖職者を作って人々を惑わしている。

スカイプ終了前にタンジュール監督からお言葉をいただきました。
今作では、山形、東京、名古屋、そして神戸で映画を理解していただいてありがたい。
また映画を作って日本でお話できる機会があればと思います。

このような場を設けて頂いた岡崎さんへ深く感謝いたします。
スカイプ前の岡崎さんの解説で、タンジュール氏は解決よりも問いを立てるために映画を作る監督と紹介されていました。
まさに映画に触発された方々がいろんな問いを監督へ投げかけたスカイプトークでした。

明日6/23(土)13:00の回上映後には本作に出演されたシリア人作家イブラヒーム・サミュエルさんと岡崎さんとのスカイプトークがあります。
皆様この機会に是非お越しください!

(高橋)


2018.06.20
第6回 記憶と格闘するドキュメンタリー!「池谷薫ドキュメンタリー塾」を開催しました!

池谷薫さんから直接ドキュメンタリー映画について学ぶ全7回の連続講義、「池谷薫ドキュメンタリー塾」。残すところ2回は、中国山西省日本軍残留問題の解決に孤軍奮闘する元日本兵・奥村和一を追ったドキュメンタリー映画『蟻の兵隊』の観賞・解説をもって一旦締めとなります。ご好評につき新たに「第4回ドキュメンタリー塾」も始動しますのでよろしくお願いいたします!6月14日の講義では『蟻の兵隊』の鑑賞と簡単な背景解説をしていただきました。「頑固オヤジを撮らせたら日本一」ともいわれる池谷さん。(『延安の娘』にもイイ顔をした頑固オヤジがたくさんでてきました。)今回の『蟻の兵隊』では、国を相手取り奮闘する奥村和一さんのステキな頑固オヤジっぷりがたっぷりと見られます。

今回の講義では、主に山西省日本軍残留問題についてと、池谷さんと奥村さんとの出会いから2011年に亡くなるまでの関係性、そしていかに撮影にあたり奥村さんを“追い込んでいったか”についてお話いただきました。池谷さんが「共犯関係を築く」という表現をされたように、お二人はまさに「共犯関係」にあったようです。勝つ見込みのない残留問題裁判の最中に取材に現れた池谷さんに対し、「しめた!」と思った奥村さん。一方で「人間・奥村和一」を撮る為に奥村さんを「追い込みまくった」池谷さん。池谷さん自身「狂いながら撮った」と表現されるように、本当に文字通り追い込みまくったそうです。記憶の中で都合よく編集してしまっている部分を一から調べ直させたり、(未遂に終わりましたが)歩く姿が気合い入りすぎていると急斜面を延々登る場面を撮り直そうとしたり。あまりの“鬼軍曹”っぷりにスタッフからやりすぎだと殴り合いにもなったそうです。しかしその中、他の池谷作品でもみられるのですが、池谷さんがその時撮ろうとしている、伝えようとしている人間の姿として、被写体が「演じ始める」という現象が起こります。今回もある場面で、「普段なら動かないが、今はきっと来るだろうと」カメラが構えるところへ、期待通り向かってくれるという象徴的な場面があります。未見の方は是非ともご確認ください。こういった関係や現象の根幹に、池谷さんが講義中何度もおっしゃる、「伝える覚悟」「取材する側の責任」ということがあるのだと思います。奥村さんとは「死ぬまで付き合った」という池谷さん。映像を見ながら生前の奥村さんのことを思い出されていたそうですが、「本当に美しい人だったね。」という言葉がとっても印象的でした。

 さて次回6月22日は最終回。今回鑑賞した『蟻の兵隊』の「テクニカルな部分」を徹底解説いただきます。まだ僅かながら座席も残っておりますので、奮ってご参加ください!

連続講義最終回!ドキュメンタリー塾、予約・詳細はこちら!→

(酒見)


2018.06.20
6/16(土)『サファリ/SAFARI』トークイベント開催!

ウルリヒ・ザイドル監督の『サファリ/SAFARI』公開を記念して、福田浩久/ふくだぺろさん(映像人類学・詩)と村津蘭さん(アフリカ地域研究)をお招きして「アフリカx映像人類学 ー殺すことの恍惚と残虐についてー」と題したトークイベントを開催しました。

福田さんにはザイドル監督の映像の構造についてなど内側から、村津さんにはアフリカでのトロフィーハンティングの位置付けなど外側からお話しいただきました。

 お二人は民俗学のフィールドに軸をおいて活動をなさっているので、まずは民俗学・民族史家とはどういったものなのかについての説明からいただきました。現地に赴き、そこで暮らしている人たちと一緒に過ごし、そこで行われていることを記録する、主に文章に起こすのが民族史、またそれを行う人を民族史家というのだそうです。またザイドル監督の撮る作品もその撮影スタイルから民族史家的であると言われているそうです。

 福田さんはトークのタイトルにもある“殺すことの恍惚”について、人間は命をしとめることで命を永らえているにも関わらず、文明が発達することによって、実際に殺すという場面に接することがなくなったということから、(良い悪いは一旦おいておき、)抑えられている欲求に対して忠実に、自身の手によってしとめるというところに、殺すことによる快感があるのだと思うとおっしゃいます。
また今作の映像で際立つ特徴として、ヨーロッパ美学的なシンメトリーのフォーマットを使うことによって浮き彫りとなる居心地の悪さ・編集から見えてくるザイドル監督自身の批評を挙げられました。

 村津さんは“殺すことの残虐”について、ヨーロッパにおいて動物はものとイコールの扱いで捉えられているということやトロフィーハンティングはアフリカでは自然保護的な意味合いも持つ一大ビジネスであるということも踏まえ、この映画に映し出されているハンティングとはそんなに残虐なことなのでしょうかと、トークの参加者に向けて問いかけられました。

  最後はお二人から参加者の皆様に向けて質問や感想を聞く意見交換会が行われました。中でも印象的だったのは、そんなに残虐だとは感じなかったというお客さまの「ハンターが動物が出てくるのを待って、いざ仕留めるという行為は、自分たちが魚を釣りに行くこととそんなに変わらないように思いました」という感想でした。

 今回のトークイベントを通じ、どこからが残虐でどこからが残虐でないかのボーダーラインは、それを考える人がどのような文化・背景を持っているかによって大きく左右されるのだなということに改めて気づかされました。このレポートではとても収めきれないほど濃密な議論の交わされる1時間でした。

 今週22日(金)まで上映中の『サファリ/SAFARI』。
ぜひ一度、自身の倫理観について考えてみる機会としてご鑑賞いただきたい一作です!

(まりこ)


2018.06.20
『見栄を張る』舞台挨拶&サイン会開催しました!

新しい才能を排出するCO2(シネアスト・オーガニゼーション大阪)の助成により制作された『見栄を張る』。和歌山県で撮影され、神戸市出身の主演・久保陽香さんをはじめ関西の俳優陣が多く出演する本作の神戸公開を記念して、舞台挨拶&サイン会を開催しました!

上映前に藤村明世監督、主演の久保陽香さん(絵梨子役)、時光陸さん(竜太郎役)のお三方にご登壇いただきました。

久保さんは、ご友人の方など当日多くご参加され、途中感極まって劇中さながら涙を流されていました。
撮影当時、プライベートや仕事などうまくいかないこともあり、役と自分が重なり絵梨子なのか自分なのかどちらかわからなくなる事もあったそうです。絵梨子の”眉間の皺”にご注目との事です。

元カレの竜太郎役、時光さんは尼崎出身だそうです。今回、上映前舞台挨拶だったのでキーパーソンということもあり、あまり多くは語れずでしたが、時光さんは高倉健さんの演技を参考にされたそうです。竜太郎の表情に健さんが見えるかもしれません。

今回のキャスティングはオーディションでしたが、藤村監督は久保さんを以前から気になっていたので声をかけられたました。久保さんがオーディション会場に入られたら会場がお花畑のように華やいだそうです!この人を1時間半写していたい!と絵梨子役は決定しました。
竜太郎は重要な役でもあり、悩んでいたところCO2事務局で偶然時光さんと出会い、この人なら!とオーディションに声をかけられたそうです。

藤村監督は絵梨子の表情の変化を観てほしいと。最初と最後でどのように変わっていくのでしょうか。女性監督ならではの繊細かつポップに描いたこの作品、ぜひ劇場でご覧ください!

(和田)


2018.06.20
映画『カーキ色の記憶』上映会&難民支援団体「RAFIQ」代表・田中恵子さんトーク開催しました!

6/17(日)、2017年山形国際ドキュメンタリー映画祭最優秀賞に輝いたシリア人のアルフォーズ・タンジュール監督による映画『カーキ色の記憶』上映会と、難民支援団体「RAFIQ」代表・田中恵子さんのトークを開催しました。

RAFIQは2002年に発足した市民団体です。「RAFIQ」とは、ペルシア語・アラビア語で「友だち」の意味。難民と共生できる街を目指し、“友だち”として支援を始めようと立ち上げられました。

代表を務める田中さんは元保育士。アフガニスタン映画の上映会で出会ったアフガニスタンの方が入管センターに収容されたと聞き、会いに行くとまるで刑務所のような待遇に驚き、その体験が立ち上げのきっかけとなったのだそうです。

世界的問題にも関わらず、日本では普段話題にのぼることもなく関心を持つ人も少ない難民問題。まずは「難民って何?誰のこと?」ということからお話しいただきました。

国連UNHCRの統計によると、支援対象者はパレスチナ難民を含め2016年は6570万人。第二次世界大戦時の難民が6000万人で、2014年以降にその数を超えて以来、歴代最高数を更新し続けている状態だそうです。とはいえ、申請をしていなくても難民はおり、統計に出てこない数字は計り知れません。

先進国の難民受け入れはどうなっているのかを見ると、最も多いのはドイツで2016年の認定者数は26万人。では日本はどれくらいなのでしょう?申請者数は2万人にものぼりながら、同年の認定者数はなんと28人です。日本では「出入国管理及び難民認定法」が定められていますが、排除と保護が1つの法の中に収められている矛盾や、認定のみで保護政策がないことなどの問題を田中さんは指摘されました。

この3月には、シリアからの4人の難民認定を退けたというニュースがありました。一部のメディアでは「就労目的の偽装難民ではないか」との見解を発表していましたが、偽装であるという調査など何もされていないと田中さん。海外のメディアでも、日本はなぜ難民認定をしないのかと疑問の声が多く上がっているのだと言います。日本は難民“後進国”なのですね…。

6/20(水)は国連の定めた【世界難民の日】です。たとえば韓国では、俳優などの著名人がアンバサダーとなり国をあげて広報をするそうですが、日本ではこの記念日を誰も知りません。国を頼りにできない今、市民ひとりひとりに関心を持ってもらうことが大事だと田中さん。

6/24(日)には、「世界難民の日 関西集会2018」というイベントを開催されます。その他にも、映画上映会や講座、気軽に参加できるカフェイベントなど様々な企画をやっておられます。写真を見せていただくと、若い人の参加が多くて驚きました。田中さんたちのまいた種がゆっくりでも着実に育っていることの証ではないでしょうか。

紛争や内戦は遠い国で起きている悲劇であっても、難民問題は私たちの日常にあります。まずはここから考えてみませんか?

RAFIQ →
世界難民の日 関西集会2018 →

(mirai)


2018.06.12
第5回 セルフドキュメンタリーの真実!「池谷薫ドキュメンタリー塾」を開催しました!

映画監督である池谷薫さんから直接ドキュメンタリー映画について学ぶ全7回の連続講義、「池谷薫ドキュメンタリー塾」。今回は池谷さんが立教大学で特任教授をされていた時の生徒さんによる卒業制作、『ちづる』が題材でした。 生徒の卒業制作だからと侮るなかれ。「油断してたらやられちゃう」と池谷さんも評価(?)する、今回の『ちづる』およびセルフドキュメンタリー解説の様子をレポートいたします。

 例によって作品の鑑賞後に映像クリップで振り返りながら解説や裏話をいただきました。講義冒頭の池谷さんの言葉が印象的でしたが、『ちづる』は、「プロが嫉妬してしまう」という作品だとおっしゃります。この『ちづる』は、2011年、当時立教大学の生徒であった赤崎正和さんが、いわゆる自閉症の診断がされた妹と、自身を含めた家族の日常をカメラに収めたセルフドキュメンタリー。池谷さんがおっしゃるには、セルドキュメンタリーは「一にも二にも覚悟」だそうです。『ちづる』冒頭の赤崎さんと母親が、同じ画面の中で会話するシーンがありますが、これは家族の協力が必須になるセルフドキュメンタリーを撮るにあたって、「覚悟をみる」ために撮って来させたそうです。その後、作中で二度繰り広げられる「喧嘩シーン」は、赤崎さんの家族、特に赤崎さんの母親の「自分たちを撮って人に見てもらう」という覚悟がビシビシ伝わり必見です!また、セルフドキュメンタリーに限らず、映像を撮る上ではじめに自分を撮っておくといいよ、とのアドバイスもいただきました。

 今回の『ちづる』を「プロが嫉妬する」とおっしゃる理由の一つとして、その撮影時間があるようです。前回扱った池谷さんの『延安の娘』の撮影時間はなんと170時間。ところがこの『ちづる』はわずか30時間。「本当に学生ってのはほんとに手を抜くんだ」と愚痴をこぼされながらも、赤崎さんを「いい意味で鈍感力がある」と表現されておられました。もってくる映像は少ない代わりに、前述の喧嘩シーンのような「撮るべきシーン」が不思議とおさえてあったそうです。学生の卒業制作に携わったことは、池谷さんにとって大変良い経験だったそうで、池谷さんがこれまでプロの現場で培ってきた“プロの引き出し”とは全く違う、「デタラメだがマインドがある」という生徒たちの撮った映像に、指導する側の池谷さんも大きな影響を受けたそうです。この経験が現在の元プロでの活動につながっているのかもしれませんね。(ドキュメンタリー塾から生まれた映像制作サークル、「元町プロダクション」通称「元プロ」もよろしくお願いいたします!)

 さて次回は、ドラマ性の強かった『延安の娘』と対照的に、池谷さん自身が被写体と“共犯関係”結んでいったという『蟻の兵隊』を観賞いたします!

ラスト2回!ドキュメンタリー塾、予約・詳細はこちら!→

(酒見)


2018.06.12
6/9(土)『アイスと雨音』舞台挨拶を開催しました!

実際の出来事を基に、“現実と虚構”/“映画と演劇”の狭間でもがく若者たちを74分ワンカットで描いた青春譚『アイスと雨音』。公開を記念して松居大悟監督の舞台挨拶を開催しました!

『ワンダフル・ワールド・エンド』以来、元町映画館は3年ぶりの松井監督に、当館で一番松井監督ファンのスタッフSが初司会で熱い想いをぶつけました!

作品製作の経緯から
監督が昨年の3月に舞台がキャンセルになった経験を元に、モヤモヤと悔しさを詰め込んで作られたそうです。

戯曲「MORNING」について
「MORNING」は親友が町を出ていくことをきっかけに、鬱屈からの夜明けを描いた物語です。物語と当時の監督の気持ちがシンクロし交錯させながら描こうと。「MORNING」の役/映画の役/本人の3層を交互に行き交いしながら最後に混ざり合う構成になりました。

MOROHA、音楽について
舞台がキャンセルになって悔しいという事を最初にMOROHAアフロさんと話し、時間が経って悔しい気持ちが無くなってしまうより作品を作ろう、一緒に作ろうとなったそうです。MOROHAの立ち位置は間に立ってもらうというより、舞台装置のような、キャストを際立たせる存在になりました。
音楽が感動を持って行ってしまうので、音楽には嫉妬をしていて、音楽を利用してやれ、物語に取り込んでやれという気持ちがあり、結果的に音楽が印象的な映画になってしまうようです。

キャスト、演出について
演技が未経験で技術が無くても作品によって機能する、色鮮やかに見えることもあると監督。未経験の田中怜子さんは2週間の稽古の中で急成長されたそうです。

タイトルについて
主人公の好きなもの2つをタイトルにしました。どちらも瞬間的なもの。雨音が拍手のように聴こえると。

背景の音について
声をクリアに録りつつ他のマイクで拾うノイズを抑えるなど録音部がとても苦労されたそうです。整音も含む仕上げに半年ぐらいかかりました。

ワンカットのこだわり
舞台は開演したらカーテンコールまでノンストップ、それを映画で表現されたそうです。

『アイスと雨音』は元町映画館で6/22(金)まで上映です!お客様から褒めていただいた当館の設備でぜひどうぞ!監督の新作『君が君で君だ』が7月公開でそちらも楽しみです!

(和田)


2018.06.12
6/8(金)『息を殺して』五十嵐耕平監督トークイベント開催!

約2年前、2016年9/11に五十嵐耕平さんとダミアン・マニヴェル監督の対談イベントが当館でありました。
その時に話題になった共同監督作『泳ぎすぎた夜』がついに公開されることになり、改めて、『息を殺して』(五十嵐監督)と『若き詩人』(マニヴェル監督)を上映し、最終日6/8には五十嵐監督をお招きして『息を殺して』と『泳ぎすぎた夜』についてお話しいただきました。

『泳ぎすぎた夜』は神戸では6/9から6/22まで神戸アートビレッジセンターで公開されています。

今回は『息を殺して』の場面写真と『泳ぎすぎた夜』の撮影風景をスクリーンに映しながら話されました。
このHPにあがっている『息を殺して』3枚の写真についての話を紹介します。

1枚目はファーストカットの森。
ここで登場人物たちはサバイバルゲームをします。
のちに映画の中で彼ら彼女らが幽霊に出会うことに繋がります、この戦争ごっこで全員死んだことになっているから。
映画全体として言えることですが、情報が小出しにたくさん出てきます、観る人はそれらの点を想像力でつなげないといけない。

2枚目は谷口蘭さんが気だるくデスクにもたれてドラキュラのフィギュアを触っているところ。
これは谷口さんっぽい、谷ちゃんらしさが出ています。
谷口さん、いつもこんな感じなんです。
谷口さんに実家にいて就職していたらどうなっていたと聞いてこんな映像ができました。

3枚目は犬。
名前はノボくん、本名はノーバディ(NOBODY)。
ちなみにこの映画のきっかけの一つは、グーグルマップのストリートビューの五十嵐さんの実家の映像に今は亡き飼い犬が映っていたことです。
この印象的なノボくんのショットは時間が余って試し撮りしていた時のものです。
ノボくんも既に死んでしまったんですが。

この話を聞いた私の頭に『デッドマン』ジム・ジャームッシュのノーボディの記憶がよぎりましたが、話はどんどん先に進んで行きました。

他にも興味深い話が沢山ありましたが字数が尽きました。

最後に、『息を殺して』の最後のシーンはオススメです!
一人の男が雨上がりの早朝、道を歩いているだけなんですが。
その男を演じる俳優は何とも言えない魅力がある嶺剛一さんです。

『息を殺して』をご覧になる機会があれば是非!
そして新作『泳ぎすぎた夜』も宜しくお願いします!

(高橋)


2018.06.12
トークイベント「映画『かぞくへ』はいかにして作られたか?春本雄二郎監督に映画制作の現場を聞く」を開催しました。

甲南大学×元町映画館コラボ企画第2弾として『かぞくへ』の春本雄二郎監督によるトークイベントを開催しました。6/8(金)に実施したこのイベント。連日舞台挨拶をしていただいている中での開催、春本監督にも疲れが…というのは全くの取り越し苦労となりました。常に全力なお話で参加された学生さんも皆さん聞き入っていました。

スタジオジブリが好きだった監督。特に近藤喜文監督『耳をすませば』が大のお気に入り。「何が良いって夢がある終わり方が本当によい」とおっしゃいました。現在はフリーで活躍されている監督ですがもちろん下積み時代もあったということで京都・太秦撮影所での助監督時代についてもお話されました。

そしてお話は映画/映像業界の“今”について。「若手が足りない。激務ですぐに辞めてしまう人が多い。やらないといけない仕事に大勢がおわれている」ととにかく若い世代が必要とされていることをおっしゃいました。「だから何ができるかにもよるけど、仕事はいくらでもありますよ」ということでした。

また助監督時代には「スケジュールの組み立て」「現場を回す」ことに徹底してこだわったそうです。外のロケでは天気に振り回されることもしばしば。特に6月の梅雨の時期は毎日、天気予報の「雨雲レーダー」とにらめっこしていたようです。しかし最後には「この時期(下積み)があったから長編映画を撮るときに役に立っている」とおっしゃいました。

最後に『かぞくへ』について、「長編デビュー作で、本当に良いものを作ろうとスタッフも集まってくれた」とおっしゃいました。「今の日本映画業界は商業的な方向に進む傾向があるが、ぜひこういう映画を観てほしい」と参加者におっしゃいました。

今の映画業界で活躍される春本監督のお話は学生の皆さんにどう響いたでしょうか。
今後も若い世代に直接、映画のお話を届けるために「クサノネ」活動は続きます。お楽しみに。

(芋羊甘)


2018.06.05
『獄友』スペシャルトーク開催しました!

やってないのに全員殺人犯!?冤罪被害者5人の友情と絆を描いた『獄友(ごくとも)』。公開を記念して2部構成でイベントを開催しました。

第1部は〈えん罪救済センター〉の学生ボランティア甲南大メンバーたちによるトークでした。
えん罪救済センター(イノセンス・プロジェクト・ジャパン)の成り立ち、活動報告など、クイズコーナーもあり、盛り上がりました!学生ボランティアは現在、甲南・立命館・龍谷の3校で約150人いるそうです。
イノセンス・プロジェクト・ジャパンの副代表でもある甲南大の笹倉先生は日本の再審のハードルの高さも問題だとおっしゃっていました。裁判所、検察庁だけでなく弁護士会、研究者、マスメディア、そして市民がいま一度取り組んでいくべきでしょう。
えん罪救済センター学生ボランティアは様々な交流会、勉強会を実施しています。SNSをぜひフォローしてください!

えん罪救済センター学生ボランティアTwitter →

第2部は金聖雄監督と金泰洪(キム・テホン)さんによる対談でした。
金泰洪さんは1981年韓国留学中にスパイ容疑で逮捕され、1996年まで服役、昨年2017年に無罪確定になりました。
観光地に行っただけで国家機密探知、新聞を読んだら国家機密探知などスパイ行為があったと、35日間監禁した状態で拷問・脅迫され、捜査側のシナリオ通りに自白させられたそうです。
えん罪で奪われた時間は取り戻せません。金泰洪さんの芯の強さが印象的でした。
韓国とは違い、日本は再審の扉が重いと金聖雄監督。映画や音楽などいろんな形でコラボして少しずつ動きを進めていけたらなとも。

『獄友』が上映中の6/11(月)には、映画にも登場する“獄友”のひとりである袴田巌さんの高裁決定がくだされます。この機会に、冤罪被害を失くすためにまず関心を持っていただき、彼らの真の姿と思いを映画で感じていただけたらと願っています。

(和田)


2018.06.05
6/2(土)『かぞくへ』初日舞台挨拶!

6/2(土)から2週間上映の『かぞくへ』。6/10(日)まで連日、登壇者日替わりの舞台挨拶も開催します!

初日は上映前に春本雄二郎監督、佳奈役の下垣まみさんのお二人、上映後には洋人役の梅田誠弘さんを加えたお三方にご登壇いただきました。
上映前の舞台挨拶では、主に春本監督から本作の企画の経緯や下垣さん演じる佳奈の役どころ、またその姉であり本作のヒロインでもある佳織というキャラクターが生まれた理由についてなどお話しいただきました。

本編終了後、劇中の洋人と本当に同一人物?と思わず二度見してしまいそうになる梅田さんにもご登壇していただき、再び舞台挨拶が始まりました。春本監督と下垣さんは神戸のご出身ということで、いつか地元に出演作を持ち帰るのが目標の一つだったという下垣さん。「今は感慨深い気持ちでいっぱいです」とおっしゃいます。一方、鳥取県ご出身の梅田さんは神戸に接点はないかと思いきや、5年ほど大阪に住んでいた頃にルミナリエを見にきたり、須磨に泳ぎにきたりなど、思い出がたくさんあるようでした。

また梅田さん起用の理由について、洋人役はとくに難航し、オーディションを開催したそうです。集めたプロフィール写真を見て、春元監督の梅田さんに対する印象は“とっぽいやつ”だったといいます。ちょっと違うかなと思いつつ、特技欄にシャドーボクシングと書いてあったことが目にとまり、実際にオーディションをした中で一番うまかったこと、肩の力が抜けたお芝居をするところ、主演・旭役の松浦慎一郎さんとのバランスがよかったことが決め手となったようです。

一方、下垣さん起用の理由はというと、春本監督が大学時代の先輩の撮影現場を手伝っていた時に主役を務めていたのが下垣さんで、その演技に対する真面目な姿勢にいつか一緒に仕事をしましょうと当時からお声をかけていたのだそう。またヒロイン・佳織役の遠藤祐美さんが美人なので、その妹も美人でなければという点でも下垣さんしかいないと感じていたといいます。

残り時間の少なくなる中、最後に春本監督は「この作品は自分たちの伝えたいメッセージや想いから始まり、やっとこうして公開まで漕ぎ着けました。ご自身の言葉で結構ですので、TwitterやFacebook、口コミでこの映画の存在を少しでも多くの方に触れられるようご協力いただければと思います。どうぞよろしくお願いします!」と締めくくられました。

2週間ほどかけて撮影するのが一般的と言われる中、約1週間という短い期間で撮影された本作。その制作過程や日々どのようにしてハプニングと闘ってきたのか、また春本監督が夜なべして描いた(!)ロケ地マップなどなど、内容盛り沢山なパンフレットも700円で販売しています!

また2階のロビーでは、劇中に使用された小道具を一部含む展示も行っております。

もちろん鑑賞するだけでも充分にその熱量を感じる作品ではありますが、監督や出演書の方々からお話を聞いて受ける熱量はその比ではありません!
春元監督、地元神戸での初凱旋公開作『かぞくへ』。一人でも多くの方に、監督や出演者の方々の想いに直接触れていただければと願わずにはいられません!

(まりこ)


2018.06.02
第4回 劇映画を超えるドラマ性!「池谷薫ドキュメンタリー塾」を開催しました!

映画監督である池谷薫さんから直接ドキュメンタリー映画について学ぶ全7回の連続講義、「池谷薫ドキュメンタリー塾」。今回の5/17(木)に行われた第4回目の講義では、『延安の娘』を映像クリップを用いて振り返りつつ、監督自ら作品を徹底解説していただきました、その模様をレポートいたします。

例によって、映像クリップと池谷さんによる解説を交互に繰り返しての講義でしたが、合間に受講者の質問を交えながら、時に談笑しつつ、時にしんみりしつつ、和やかに進行いたしました。今回の講義で特に繰り返し話題に上がったのは、「劇映画をしのぐドラマ性」と評された『延安の娘』の物語の構築法。特にナレーションに頼らない物語の進行や状況説明についてお話いただきました。テレビドキュメンタリー制作の中でナレーションの限界について考えておられた池谷さん。『延安の娘』は、ナレーションを使わず、徹底して登場する人々本人の言葉や会話で進行していきます。これらは物語の狂言回し役としての目的だけでなく、第三者が語ると嘘くさくなりがちな当事者たちの心情や気持ちの変化を露出させる目的があるそうです。それを裏付ける一場面としては、見た人は必ずわかる今作屈指の“がっかりシーン”(a.k.a「お父さんの裸」シーン!)を映像クリップで見返しながら、「こんだけみんながっかりするってことは、それまでの積み上げが上手くいってるってことだね」といたずらっぽく笑う池谷さんが印象的でした。

そのほか、カメラの立ち位置や音の使い方などなど、実践的なお話をたくさんしていただきましたが、やはり一番のポイントは、前回のレポートにも書きましたが、作品として残るもの以上に膨大な時間と量の映像やデータを集める池谷さん。今作では150時間もの映像を撮り、捨てていって残った2時間が映画になっているそうですが、ただカたくさんメラを回すのではなく、いかに多くの「設定」を撮れるかが重要だそうです。そうした設定と工夫が集まって、ドラマ性のあるドキュメンタリーとなって出来上がっていくようです。

次回は、池谷さんの教え子である赤崎正和さんが卒業制作として撮られた『ちづる』を見ながら講義いただけます!奮ってご参加ください!そして今回も例によって(?)早く終わろうと言いながらも延長し、2時間半も徹底的にお話いただきました。それでもきっと講義のために捨てたお話がたくさんあるはずです。話が聞き足りないという方には、講義後に懇親会をご用意しております。もちろん池谷さんもご参加されます。そちらにも奮ってご参加ください!

熱い熱いドキュメンタリー塾、予約・詳細はこちら!→

(酒見)

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