イベントレポート


2018.11.14
第4期「池谷薫ドキュメンタリー塾」の第五回目を開催しました!

映画監督・池谷薫さんから直接ドキュメンタリーについて学ぶ「池谷薫ドキュメンタリー塾」。後期五回目となりました11/8(木)のドキュメンタリー塾では、池谷さんの最新作である『ルンタ』を鑑賞いたしました。本編映像が2時間近くあるため講義自体は短めでしたが、撮影の背景や裏話について説明いただきました。

 『ルンタ』では、チベットの問題についてブログを通じて発信を続ける、中原一博さんの視点を中心に話が展開します。現在進行形のチベット問題を取り扱うということで様々な障害がありながらの撮影だったようです。撮影がバレると池谷さん達や中原さんはもちろん、撮影に協力しているチベット人の方々も数年の禁固になってしまうため、移動中や宿泊中は撮影データをできるだけ見つからない場所に隠し、最悪の時には飲み込むという覚悟までしていたそうです。途中一度公安に踏み込まれたという衝撃の体験談もありました!

 今回の授業ではこういった撮影の裏話と、チベット問題や中原一博さんについてなど背景的な話にとどまりましたが、次回11/15(木)では例のごとく動画クリップを使いながら、映画『ルンタ』としての技術的な面について徹底解説いただきます。重厚感ある音が印象的でしたが、その音について。また編集や描き方について。そして映画内に散りばめられた「メタファー」についてのお話をいただきますのでお楽しみに!

 最後に少し余談になりますが、作中に重要なキーワードとして登場する「焼身」。焼身を行う意味の一つとして、焼身をきっかけに現状を「知ってもらう」ということが挙げられるそうです。先週まで新開地のパルシネマさんで上映していた話題作『タクシー運転手』や現在当館にて上映中の『1987、ある闘いの真実』はどちらも「真実を知ってもらう」ための闘争を描いた秀作でした。これらの作品にピンと来た方、是非『ルンタ』も鑑賞していただければと思います!

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(酒見)


2018.11.07
11/3(土) 『1987、ある闘いの真実』スペシャルトーク開催しました!

公開2週目となるも連日大入りの『1987、ある闘いの真実』。公開を記念して、神戸大学大学院国際協力研究科の木村幹教授をお招きして、「韓国と民主化とその時代」と題したトークイベントを開催しました。

この作品は昨年(日本での公開は今年ですが)1987年の30年後を記念して制作されました。今回、鑑賞3回目だとおっしゃる木村先生。解説を任されたものの、この手の韓国の作品はなかなかに難しいとおっしゃいます。日本のドキュメンタリーだとわりとドキュメンタリーっぽく撮るが、韓国のドキュメンタリーはほぼほぼ事実ではあるものの、適宜に誇張や実在しない人物を出してくるので、どこからどこまでが本当の意味の真実で、どこからどこまでが創作なのかがなかなかわかりにくいのが理由だとおっしゃいます。
パルシネマで7日(水)まで上映されていた光州事件を基に制作された『タクシードライバー』や歴史映画・歴史ドラマにも共通して多く見られる手法だそうです。

情報量が多い本作。映画で描かれた時代に直近した歴史的出来事の流れやもっと長い時間の流れの中で起きた出来事のまとめ、実在の人物や事件の際に実際に用いられた写真などを多用し、パワーポイントでわかりやすく説明くださいました。
また映画の出演者と実在の人物の写真を見比べ笑いを誘う一幕も。

この作品の背景で重要なのは“世代”だと木村先生はおっしゃいます。映画では描かれてはいないものの、ハ・ジョンウ演じるチェ・ファンと牢獄で手紙を書くイ・ヒジュンが演じるユン・サンサムとソル・ギョング演じるキム・ジョンナムは、なんとソウル大学政治学科の同窓生だそうです。
1965年日韓基本条約が締結された前年の1964年に起きた大規模な学生運動6・3学生運動に参加していた世代の人たちに当るといいます。この世代で有名な人を挙げるならイ・ミョンパクとの名前に、会場からは“あ~”との声が。

『タクシードライバー』で描かれる光州事件は7年前の1980年。大量の死人が出たといいます。『1987、ある闘いの真実』で描かれる1987年にはそこまで多くの死人は出ていない、そこに時代の大きな変化を見ることができると木村先生はおっしゃいます。

最後の質問コーナーも盛況で、終始熱気あふれるトークイベントとなりました。

『1987、ある闘いの真実』は11/16(金)までの上映です。
来週からは香港で2014年に「真の普通選挙」を求めて起きた雨傘運動の79日間を記録したドキュメンタリー『乱世備忘 僕らの雨傘運動』も公開されます。
こちらも併せてお見逃しなく!

(まりこ)


2018.11.07
第4期「池谷薫ドキュメンタリー塾」の第四回目を開催しました!

映画監督・池谷薫さんから直接ドキュメンタリーについて学ぶ「池谷薫ドキュメンタリー塾」。後期四回目となりました11/1の授業は急遽内容を変更し、今年の夏ご逝去された作曲家で、前期で扱った映画『蟻の兵隊』で池谷さんとタッグを組んだ、「エディ」こと内池秀和さんを偲び、『蟻と兵隊』の音楽についてお話し頂きました。

 池谷さんの映画では大胆なシーンの省略をはじめ、極力説明をつけないようにしているため、どうしても「わかりにくい」という部分がでてくるそうで、そういう場面こそ音楽の力を借りるそうです。『蟻の兵隊』でいえば宮崎参謀の「慟哭シーン」。この場面からもう中国へ一気に行きたいが、あまりに大きな場面の転換なので音楽を挿入することでスムーズに転換できるようにしたそうです。このような音楽をつける作業は、編集段階で音を入れる間をつくり、編集後に音をのせていくそうで、監督・作曲家双方にとって大変緊張する作業だそうです。『蟻の兵隊』では、心音を想起させる音が要所で印象的に登場しますが、このような音効も内池さんの仕事で、こういった音効や音楽のために、監督としては映画全体のコンセプトとその場面の裏にある意味を詳しく伝えるそうです。なぜこの場面で音楽が要るのか、どういう意図でこのシーンがあるのかを説明し、あとは作曲家を信用するのみ。ここで面白いのが、音を入れて最初に聞いた時に少し違和感があるぐらいが良いそうです。編集中にある程度イメージがある分、それとぴったりハマる曲というのは裏を返せば面白くない曲だと池谷さんはおっしゃいます。内池さんはその要求通り「違和感」のある曲をあげてきてくれたそうで、内池さんの曲者ぶりとともに、撮影中も自分達の挙げていた想定と別のことが起きることこそがドキュメンタリーの面白さといつもおっしゃる池谷さんらしい面が垣間見えるお話しでした。

池谷さんは内池さんを「人間の深い悲しみとその先にある一筋の光のようなものを見ている人だった」と評されます。『蟻の兵隊』は大変重い話でありながら、見終わったあと爽やかな印象を受ける映画でもあります。その一因として、内池さんはエンディングテーマにとても温かいイメージの曲をもってこられました。内池さんが本当に主人公・奥村和一さんを好きになってくれたからこそこうなったのだろう、と池谷さんはおっしゃいます。内池さんは大変情感深い音を作るため、その分音が「強く」なり使える場面が限られてしまうという面があるそうですが、『蟻の兵隊』では曲者同士ががっぷり噛み合っていたようです。

 さて次回11/8はとうとう『ルンタ』を扱います!乞うご期待!

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(酒見)

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